22-私のいない世界でも ページ22
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凪くんを守りたい。
第一の目的はそれだったから。
まさか自分が命の危機に晒されるなんて思ってもみなかった。このまま刺されたら、死ぬよね絶対。刺された瞬間に、タイムスリップする前の元の世界に戻れるとか、……そんな展開はないよね。
ていうか元の世界に戻れたとしても、そこに凪くんはいないのだから。あんな世界に戻るくらいなら、凪くんを守り切ったこの世界で散る方がマシだ。
凪くん、ごめんね。
大切な人を失う辛さは私が1番分かっているのに。
君を残していってしまうことを許して。
君を守れたなら、私は満足だ。
夢の中にいるみたいな日々だった。当たり前のように凪くんが隣にいて、好きと言えて言ってくれて、甘いキスだってした。もう2度と手に入らないと思っていたものが手に入ったのだから、満足だよ。
大切な人が隣にいる毎日は当たり前なんかじゃない。奇跡なんだ。だからこそその一瞬一瞬を大切にしないといけない。
幸せってきっと、奇跡が当たり前に存在し続けることなのだと思う。
スローモーションのように向かってきていた刃物の先端がついに数cm先まで迫ってきた。目を瞑れば、大好きな人の顔が浮かんだ。
凪くん、私は君のいない世界に耐えられなかったけど。君はどうか、私のいない世界でも幸せに生きて。君の隣にいてくれる、私じゃない別の誰かを見つけ出して。
ぽろっと頬を伝った涙が地面に落ちた時だった。
「______Aっ！！」
私の名を呼ぶ叫び声が聞こえた瞬間、「ぐっ……」と通り魔は地面に膝をついた。やがて気を失ってそのまま倒れてしまった。その奥にはサッカーボールが転がっている。
私が刺されると思った瞬間、物凄い勢いでサッカーボールが飛んできたんだ。そうしてそのサッカーボールは通り魔の顎に直撃し、刃物を手から落として、そのまま気絶した……と。
このサッカーボールを蹴ったのは……。
「A、怪我はない！？無事……？」
なんとも格好のつかない、グレーのスウェットの姿で寝癖頭の凪くんだった。
ホッとしたのと、凪くんのおかしな姿に、笑いながら涙が出てしまう。「うん、怪我はないよ」と答えれば、勢いよく抱き締められた。凪くんの匂いに包まれて、益々涙腺が緩む。
これで、全部守れたんだ。
凪くんも他の人も、私も。皆生きている。
凪くんが心底安堵した涙声で呟く。
「よかった……。今度は助けられた」
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はむスター(プロフ) - 桜もちさん» 私もお気に入りの作品なのでそのようなコメントをいただけて嬉しいです😭☺️ありがとうございます頑張ります！ (2023年4月6日 18時) (
レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - ＋...?葵＊一等星?....＋さん» いつもお読みくださりありがとうございます！☺︎素敵なコメントしていただけて嬉しいです😭 (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - るかさん» ありがとうございます！ (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
桜もち - 大号泣でした😭😭😭最高すぎる作品をありがとうございます🥰更新楽しみにしてます！ (2023年4月6日 0時) (レス) @page25 id: f3db4b5563 (このIDを非表示/違反報告)
＋...?葵＊一等星?....＋(プロフ) - いつも読ませて頂いています！この作品凄く好きで泣いてしまいました^^;応援してます！ (2023年4月4日 19時) (レス) @page25 id: b5a485c64e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむスター
| 作成日時：2023年1月11日 23時
