14-夢じゃない ページ14
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どうして、まだ凪くんがいるの……?
もう次に目が覚めた時には私は自分の家にいて、高校を卒業して新しい生活への準備を始めないといけないと思っていたのに。
隣で同じようにベットに寝転がっている凪くんは、どこからどう見ても本物の凪くんで。
夢じゃない……?
これまでの認識が全部が崩れて、新たなピースで埋め尽くされていく。
______もしかして、私は本当に過去に戻ってきたの?
やり直すことができる?凪くんが通り魔に遭わない、凪くんが隣にいる人生に。
ずっとずっと焦がれてた大好きな人のいる未来を、手に入れることができる?
昂った感情が涙となり、目の前にいる彼が「ありゃ、また泣いちゃうの」と驚いた顔をする。そしてそっと手を伸ばして彼の胸元に引き寄せられた。ポンポン、と背中を優しく叩かれる。
とくん、とくん、と命の音がする。凪くんは確かにここにいる。もう一度、やり直せるということなら。
______凪くんを、守ってみせる。絶対に。
「A、昨日からどーしたの。流石に心配になる」
「…」
「何でも聞くよ」
小さな子供を相手にしているみたいな甘やかしてくれる声が、愛おしくて仕方がなかった。
「凪くん、が……」
「うん」
「死んだ、…………夢を見たの」
「夢?」
「うん……」
「…………ふは、」
「ねえ今馬鹿にしたでしょ」
「ちょっとだけ」
「嘘でも否定しなよ」
凪くんは「夢の話か」と軽い感じで受け止めているけど、こっちがどれだけ苦しんだと思ってるんだ。夢であればいいのにって思ったことが何度あったことか。
「えー、だって、俺が死んだ夢見てあんなに泣いて甘えてきたってことでしょ?そんなの可愛すぎるし、俺愛されてるなぁって実感したら嬉しくて」
「……そうだよ、大好きなんだよ。凪くんのこと。だから、勝手に死んだら怒るから」
「いえっさ〜。任せてよボス」
そう言って布団の中で触れるだけのキスを交わす。
あたたかくて、心地良くて、幸せで堪らなくて、頬を一筋の涙がゆっくりと滑り落ちた。
夢じゃないなら、これが現実なら絶対に凪くんは死なせない。
私と一緒に生きていく未来に連れていってみせる。
大好きな匂いと温もりに包み込まれながら、静かにそう誓ったのだった。
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はむスター(プロフ) - 桜もちさん» 私もお気に入りの作品なのでそのようなコメントをいただけて嬉しいです😭☺️ありがとうございます頑張ります! (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - +...?葵*一等星?....+さん» いつもお読みくださりありがとうございます!☺︎素敵なコメントしていただけて嬉しいです😭 (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - るかさん» ありがとうございます! (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
桜もち - 大号泣でした😭😭😭最高すぎる作品をありがとうございます🥰更新楽しみにしてます! (2023年4月6日 0時) (レス) @page25 id: f3db4b5563 (このIDを非表示/違反報告)
+...?葵*一等星?....+(プロフ) - いつも読ませて頂いています!この作品凄く好きで泣いてしまいました^^;応援してます! (2023年4月4日 19時) (レス) @page25 id: b5a485c64e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はむスター | 作成日時:2023年1月11日 23時