12-まだ終わらせない ページ12
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「ん」
玄関で靴を履き替えて校舎を出たところで凪くんが手を差し出してきたので、どういうことだろうと首を傾げる。続いて「手、繋がないの？」ときょとんとした様子で返されて、私の顔は一瞬で熱を持ち始める。
「つ、繋がないよ！？玲王くんだっているし」
「そうだぞ凪ー。流石にTPOは弁えろー。3人で帰るのに2人だけの世界作るな」
「今日はAが甘えたい日なのかなあって、」
「綾瀬さんが？へぇー」
「違います！玲王くんもニヤニヤしないで！」
玲王くんがいるというのに平気で凄いことを言いのける凪くんを恨めしく思いつつも、平和でしかないこの時間に胸を焦がす。
……そりゃ思う存分凪くんといちゃつきたい気持ちはありますけれども、3人で帰ってる構図で2人だけ恋人として過ごすなんてことはできない。
凪くんは「ちぇっ」と唇を尖らせて手を引っ込める。
「甘えるA、可愛かったのに。レオがからかうから意地張っちゃったじゃんー」
「俺のせいにするな」
まだ夕陽の光のさえない比較的明るい時間帯。平和な象徴のような穏やかな空気の中、3人で雑談しながら帰路を進んでいく。
凪くんと玲王くんと一緒に歩く道は新鮮だった。私が玲王くんと仲良くなったのは凪くんがいなくなってからだったから。こうして3人で歩くことなんてなくて。
……やっぱりこの世界は私の願望が映し出している夢なのだろう。私の“こうありたかった世界”を忠実に再現しているのだ。こんな幸せな夢から、絶対に絶対に覚めたくない____。
もう、
「もう無理だよ、会いたいよっ……好きだよ、……凪くんっ……!」
あんな思いはしたくない……。
感情に浸っているといつの間にか別れ道について。家に帰る私と、駅に行く凪くん達で別れる。
「綾瀬さん、またね」
「帰ったら電話するから」
ここで別れたら、もう2度と会えないのかな。都合の良い夢が、終わっちゃうのかな。
いやまだ終わらせない、と凪くんの服の袖を掴む。
「A……？」と無表情で驚く瞳を見上げる。
「今日、凪くんの家で待っててもいい？」
「えっ、嬉しい。逆にいーの？」
「うん……」
「おーいお二人さん、目の前でカップルに泊まる約束されるの気まずいんですがー」
「レオも来る？」
「いや流石にそこまでKYじゃねぇし」
凪くんから鍵を預かって、お先に家に向かった。
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はむスター(プロフ) - 桜もちさん» 私もお気に入りの作品なのでそのようなコメントをいただけて嬉しいです😭☺️ありがとうございます頑張ります！ (2023年4月6日 18時) (
レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - ＋...?葵＊一等星?....＋さん» いつもお読みくださりありがとうございます！☺︎素敵なコメントしていただけて嬉しいです😭 (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - るかさん» ありがとうございます！ (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
桜もち - 大号泣でした😭😭😭最高すぎる作品をありがとうございます🥰更新楽しみにしてます！ (2023年4月6日 0時) (レス) @page25 id: f3db4b5563 (このIDを非表示/違反報告)
＋...?葵＊一等星?....＋(プロフ) - いつも読ませて頂いています！この作品凄く好きで泣いてしまいました^^;応援してます！ (2023年4月4日 19時) (レス) @page25 id: b5a485c64e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむスター
| 作成日時：2023年1月11日 23時
