不誠実な五条くんに弄ばれたい！【五条悟】

4.本音は彼に見せられない ページ5

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「あ、知ってます」

「え？」

「いや、(やばっ)」





夏油くんが目を丸くする。


あ、やばい。口が滑った。当たり前のことを言われすぎてつい条件反射で答えてしまった。


普通の彼女は浮気されてると告げられて「知ってます」と軽く答えたりしないだろう。


……ていうか今って物凄く面白いシチュエーションなんじゃない？


彼氏の親友から彼氏の浮気を告げられるって、本当にドラマの中のワンシーンみたいなシチュエーションだ。素敵、と緩みそうになる頬を堪える。


私は斜め下に視線を下げ、彼氏の浮気を悲しむ女を演じる。





「知ってるっていうか、浮気してるんだろうなーとは思ってたんだ」





硝子が私の足を軽く蹴ったのでチラッとそっちを見れば、「楽しんでるなお前」という顔をしていた。楽しんでるよ、人生楽しんだもん勝ちでしょ、と心の中でピースサインを送る。


こういうイベントがあるからこそ、捨てられる時が大いに盛り上がるのだ。


夏油くんは気遣いげにこちらを見つめる。





「流石に同期と付き合ってる時に浮気はやめとけって忠告したんだけどね。アイツの浮気は癖っていうかもはや日常の一部というか……」

「…」

「ごめんね、止めてやれなくて」

「あ、いやいや！夏油くんが謝ることじゃないじゃん！」

「……こんな事を言うのも何だが、悟はきっと君1人に誠実になることはないよ。……申し訳ないが、別れた方がお互いの為になると思う」





夏油くんの言う通り、最終的には別れることになるだろうけど、それは今じゃない。私から別れを告げるのはナンセンスだ。


____だって私は、イケメンに捨てられてみたいのだから！


夏油くんから助言を受けて「ありがとう」と寂しげに微笑みつつ、「でも」と健気なヒロインを演じる。





「もう少し頑張れば私だけを見てくれる日もくるかもしれないから……五条くんから別れを切り出してこない限りは付き合い続けようと思うの」





訳:もう少し弄ばれてる状況を楽しんでから、思いっきり捨てられたいの


この訳が見えていたのは私と硝子だけだ。


現に夏油くんは「君みたいな健気な子に悟は勿体ないな……」と大きな溜息を吐いていた。






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