14.少しずつ変わり始める ページ15
.
五条くんと初デートをしてからというもの、ドタキャンされる回数が格段に減った。
初デートの約束をしてから実現するまでに1ヶ月はかかったというのに、今では2週間に1回くらいのペースでデートができている。というか五条くんから誘ってくることもあるくらいだ。
あまり遠出したりはしないが、デートの最後にカラオケに行くというのが定番になっていた。五条くんは私の替え歌を相当気に入ってくれたらしい。毎回何かしらの替え歌を歌わせてくるから、流石にレパートリーが尽きそうなのが悩みの種である。
五条くんとデートをするようになってから、硝子に「そろそろ順調に捨てられそうなの?」と確認されたので「なんかめっちゃデート誘われる」と事実を返せば、苦い顔をして「……手遅れになる前にAから振っちまいなよ」と言われた。いやいや私は捨てられる側なんだって。
夏油くんには「悟を更生させるなんてやるじゃないか」と感慨深く言われて焼肉を奢って貰った。「でも浮気はやめてくれた様子はないんだよねぇ……」と悲しげに呟いてみれば、帰りにコンビニのアイスまで買ってくれた。
*
*
*
このまま友達みたいなカップルの関係に浸るのも悪くはないが、私にはイケメンに弄ばれて捨てられる、という大きな目的がある。
その目的を達成する為の行動に移ることにした。
「ごじょーくん!」
「ん?」
任務に向かおうと廊下を歩いていた五条くんを追いかけて呼び止める。振り返ってくれた五条くんの隣には任務に同行する夏油くんもいる。私は「これ!」と小さな紙袋を差し出す。
「クッキー作ってみたの!良かったら食べて」
何を隠そう、五条くんは他人から手作りの食べ物を貰うのが嫌いらしかった。それを知りながら実行するのは、全て捨てられるというゴールに到着する為。
五条くんの地雷を踏み抜いて、少しずつ愛想を尽かされる為の作戦を進めていくんだ。
機嫌悪そうに「いらねーよ」とか言われるのかなあ、と想像しているとヒョイッと紙袋を受け取ってもらえた。あれ、何で受け取ってもらえた?地面に叩きつけられる予定だったんだけど。
「……ありがとな」
目元をふわりと赤く染めた五条くんが、ふいっと顔を背けながら言う。
まさかそんな反応をされると思わず、瞬きを繰り返す。
「いいな、私にも少し分けてくれないか」
「あ、夏油くんも是非食べて!」
「…………傑にはやんねーし」
.
3096人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃむ - コメント失礼します!この作品を見た後不誠実な五条さんが好きな私と誠実な五条さん好きの私が喧嘩してました!wこれ五条さん目線のこの物語が見てみたいです!もし良ければ書いて頂けませんか?! (2月7日 22時) (レス) @page39 id: b02cacdca3 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 雪菜さん» 最後までお読みくださりありがとうございました!!😭きっと五条は夢主に誠実さを見せつける為に行動を改めていくんだと思います、!最後には手に入れる気満々ですからね笑 こちらこそ更新不定期な今作をお読みくださってありがとうございました…! (1月1日 23時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - わー!!!完結おめでとうございます!!!この先の激重五条も見たいですが想像で楽しみます😌こんな神作を連載してくれてありがとうございました!!本当に見てて面白かったです😭🙏💞 (12月31日 22時) (レス) @page39 id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!!! (8月11日 1時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - dearさん» 夢主を気に入っていただけてとても嬉しいです!☺️でも五条さんは自分と夢主で一緒に幸せになりたいと思ってるかもしれませんね、!笑 (8月11日 1時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はむスター | 作成日時:2022年3月26日 21時