10.美人さんばかり ページ11
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浮気(もどき)を隠そうとする五条くんの嘘に、ニヤけてしまわないように必死だった。やっぱり一応嘘を吐く努力はしてくれるらしい。……なにそれ、なにそれ、そんなのって。
____楽しすぎる!
めっちゃ騙そうとしてくるじゃん。すぐに欺けるチョロい女だって思ってるじゃーん。まあ、その面白い嘘に乗ってしまうのが私の捨てられたい本能である。
私は都合の良い彼女のフリをする為、「へぇーそうなんだ。五条くんがいつもお世話になってます!」と微塵も疑ってない様子で笑顔で言って、女性に頭を下げた。女性は私につられて「あ、どうも……」と気まずそうに軽く会釈をする。
「にしても、お姉さんめちゃくちゃ綺麗ですね」と容姿を褒めれば、女性は「……そう?ありがとう」と嬉しそうに微笑む。わお美人。五条くんが連絡先のメモ受け取っちゃうのも納得だ。
とはいえ、褒めるだけでは終わらせない。私は良い笑顔で続ける。
「五条くんの知り合いって、美人さんばかりで羨ましいな!」
ピシャリと空気が固まるのを肌で感じた。
それまで余裕に構えていた五条くんの表情が初めて強張る。
「この前だってデートドタキャンされた日、硝子と新宿行ったらたまたま五条くん見かけたんだけど、もうモデルかってくらい綺麗な女の人と一緒にいたんだよね。でもその日バイト(任務)だって言ってたから、バイト(任務)関係の人だったんだよね?バイト(任務)でもあんな美人さんと一緒にいられるの羨ましいな〜」
五条くんは顔を俯かせて一向に目を合わせようとしない。
女性はドン引きして「何人も同時進行なわけ?流石に無いわ……」と小声で呟いている。小声だけど私に聞こえちゃってるよ?ま、聞こえてないフリするけど。
女性は「じゃ、じゃあ私はこれで」と足早に去っていく。
取り残された私と五条くんの間に暫く沈黙が流れる。
ちょっとやりすぎたかな、と反省し「五条くん、大丈夫?体調悪い?」と助け舟を出す。そうすると漸く顔を上げてくれた。五条くんは私を詮索するような目つきで尋ねる。
「お前、本当は気づいてる?」
「え、なにが?」
「…」
わざとらしく惚けてみたら、五条くんはハアッと溜息を吐き、「なんでもねー」と私の頭をポンポン撫でた。
そして席を立ち、「カラオケ行くぞ」とどんどん歩いていく。
その背中を慌てて追いかけると、店頭に置いてあったゴミ箱に小さなメモを捨てているのが見えた。
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ちゃむ - コメント失礼します!この作品を見た後不誠実な五条さんが好きな私と誠実な五条さん好きの私が喧嘩してました!wこれ五条さん目線のこの物語が見てみたいです!もし良ければ書いて頂けませんか?! (2月7日 22時) (レス) @page39 id: b02cacdca3 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 雪菜さん» 最後までお読みくださりありがとうございました!!😭きっと五条は夢主に誠実さを見せつける為に行動を改めていくんだと思います、!最後には手に入れる気満々ですからね笑 こちらこそ更新不定期な今作をお読みくださってありがとうございました…! (1月1日 23時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - わー!!!完結おめでとうございます!!!この先の激重五条も見たいですが想像で楽しみます😌こんな神作を連載してくれてありがとうございました!!本当に見てて面白かったです😭🙏💞 (12月31日 22時) (レス) @page39 id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!!! (8月11日 1時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - dearさん» 夢主を気に入っていただけてとても嬉しいです!☺️でも五条さんは自分と夢主で一緒に幸せになりたいと思ってるかもしれませんね、!笑 (8月11日 1時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はむスター | 作成日時:2022年3月26日 21時