不誠実な五条くんに弄ばれたい！【五条悟】

27.五条くんを不誠実に弄びたい！ ページ30

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「ねーA、アンタ今五条のこと誑かしてるはずなんじゃなかったっけ？」





教室で煙草代わりに飴を舐めている硝子にそう聞かれたので、「うん、そうだよ」と答える。五条くんも夏油くんも任務に出掛けていて、硝子と2人で授業に励んでいた日の放課後のことだった。


私と五条くんが元鞘(別れたのは一瞬だけだったけど)なのは周知の事実で、そしてその恋人関係が普通でない歪なものであることも特にこの硝子は知っている。


イケメンに弄ばれて捨てられてみたい願望があった私は、五条くんに告白して付き合ってもらって、なんやかんやあった後に見事その目的を達成させた。


そしてクズだった頃の五条くんを見ていた私は、いつからか自分も弄ぶ側になってみたい願望を抱くようになっていた。その願望を成行で五条くんに話したところ、「俺のことならいくらでも弄んでいいから」と言ってもらい、今度は弄ぶ側として彼と付き合っている。





「五条と最近どうなの」

「珍しいね、硝子がその話題に興味を持つなんて。ハッ！もしかして硝子、五条くんのこと好……」

「やめろ。それだけは有り得ないから。あんなクズ共」

「はは、夏油くんに流れ弾いっちゃった」

「でももし仮にそうだったらどうすんの？」

「んー、いいよ！私三角関係にも興味あるし！なんなら三角関係で負ける側の当て馬ポジションにもなってみたい！」

「アンタって本当人生楽しそうだよね……」





硝子に溜息吐かれたので、「楽しいよ！」とピースサインを見せればまた溜息を吐かれた。





「ま、そんな話は置いといて。五条が私のとこに相談きてウザいからなんとかしてよって話」

「なんて相談されたの？」

「『Aが浮気してる様子全然無いんだよな』って」





思いがけない内容に、ピクッと肩が跳ねる。その動揺を見逃さなかった硝子が「浮気できないくらい、五条にマジになっちゃった？」と目を覗き込んで畳み掛けてくる。


私が浮気してる様子、全然ないって……。


ああダメ。肩の震えを抑えられない。


「あっはは！」と堪えきれず笑ってしまう。





「A？」

「五条くんって、案外ピュアなのかな」





私は頬杖ついて得意げに笑う。





「浮気してる様子がないって、当たり前じゃん。だって______浮気は、バレないようにするものでしょ？」





硝子は目を見開く。そして飴を噛み砕いて「Aって本当にイカれてるわ」と呆れたように、でもどこか楽しげに言った。






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