09-今だけは俺のもの ページ9
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「…………、ていうかAって、何でこんなにずっと一緒にいるのにレオに告らなかったの?チャンスなんていくらでもあったでしょ」
凪くん、今日はやけに恋バナしたがるなあと不思議に思う。凪くんでも、人並みに興味はあるってことなのかな。
今度は料理する手を止めずに質問に答える。
「……玲王のことはずっと好きだったけど、実は一時気持ちが薄れてる時もあったんだよね」
「そーなの?」
「うん。ほら、玲王って誰とでも仲良くできるから別に私が特別なわけじゃないんだなーって思い知らされることが多かったし、それに可愛い彼女がすぐできるし。私なんて絶対に相手にしてもらえないよなあって思ってたら、好きは好きだけど、告白するまでじゃなかった」
「けど今はあっつい視線送ってるじゃん。何かきっかけがあったの」
静かに終わりかけていた初恋が再熱したきっかけ。
それは、紛れもなく……。
「______凪くんのおかげだよ」
私が突拍子のないことを言ったからだろう、凪くんは「俺?」と目をパチクリさせる。私はうん、と再び頷く。
「凪くんと出会ってからの玲王は今まで見たことないほど楽しそうで、サッカーで世界一になるっていう目標ができて、本当に一生懸命で、かっこよくて……」
「…」
「それで私、玲王がサッカーする姿を近くで見ていたいなあって思ったんだよね……」
玲王が好きだという気持ちをずっと隠してきたから、こうして曝け出すことができるのは清々しい気分だった。いつもは言えないことも、凪くんになら言えてしまう。
「凪くんといる時の玲王のキラキラした表情が、1番好きなんだぁ」
サッカーと凪くんに出会えていなかったら、玲王はきっと今もどこか退屈そうな顔をして日々を過ごしていたことだろう。ただの幼馴染の私には絶対に引き出せなかった表情を、凪くんはいとも簡単に引き出してしまった。
「だから凪くん、ありがとね。玲王とサッカーしてくれて」と感謝を伝えれば、何故か凪くんは唇を尖らせて拗ねた表情を浮かべる。
「てことは、俺がレオといる限りレオのこと好きなんじゃん……」彼は小声で何かを呟いていたが、料理の音に紛れて私には届かなかった。
凪くんがソファから立ってこっちに向かってくる。そうして後ろからポスッと私の肩に頭を擦り寄せた。
「お腹減った……」
「も、もう少しでできるから!」
いきなり何だ?
ほんとに、心臓に悪い。
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はむスター(プロフ) - 茶々さん» 初コメありがとうございます!ブーゲンビリアの花言葉、気づいてくださった方がいて嬉しいです😭 (2023年2月10日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
茶々(プロフ) - 初コメ失礼します!ブーゲンビリアの花言葉でもうしんどいです、、。好みど直球な作品で一気読みでした! (2023年2月3日 22時) (レス) id: 2bcc5ab034 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 莉紅-リク-さん» お待たせいたしました!続編でもお会いできること楽しみにしています!☺️ (2023年1月20日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - おりかさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします☺︎ (2023年1月20日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
莉紅-リク-(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!続編待ってます!! (2023年1月20日 8時) (レス) @page50 id: 24f0804e56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はむスター | 作成日時:2022年12月28日 17時