39-花火の下の秘密 ページ39
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そっか、確か先生が打ち上げ花火を用意してくれるって言ってたもんなあ。
空を明るく彩る花火に心を奪われ、窓に手をつく。
「綺麗……」
「ね」
花開くその瞬間だけ世界の中心となり、しかしすぐに散ってしまう。華やかさと儚さの正反対の要素が揃っている風物詩だからこそ、こんなにも心を動かすんだ。
暫く花火が上がる様子を楽しんでいた。……が。
ふと気づく。窓の外を見つめたまま切り出す。
「凪くん、皆のところに行かなくていいの?」
「いーよ。ここからでも見れるし」
「ならいいけど。……あとさ、」
「ん?」
少し言い淀んで、胸の前で拳を握る。
「さっき言ってた……私に伝えたいことってなに?」
「あー、うん。伝えておかなきゃなって思って」
ゆっくりと顔を彼の方に向ける。
緑色の花火が上がって、凪くんの顔が照らされる。
真剣な瞳に見つめられて胸がドキリと鳴る。
「俺、好きな人がいて」
「…………うん」
花火が、散る。
「_______真凜のことが好きなんだ」
花火の音と同時に伝えられた秘密は、私の耳にははっきりと届いて。それだけを述べた凪くんは、私の反応を探るような目でこっちを見ていた。
理解するのに時間が必要だった。
真凜のことが、好き……?
何度も何度も頭の中でそう反芻し、私は「えぇえ!?」と目を丸くして叫ぶ。我ながら花火の音にも負けないくらいの声量だったと思う。
「ほ、ほんと!?凪くんが真凜のこと……?」
「うん」
「そっか……。え、いつから?」
「ん〜〜、……一目惚れ?みたいな?」
「なるほどねー。まあ、真凜可愛いもんなあ」
なんか凪くんが若干棒読みなのは触れないでおいた。好きな人を暴露しているのだから彼だって緊張しているのかもしれない。なんだかとてつもなく大きい秘密を知ってしまった気がして、心臓がドキドキする。
「そっかぁ。まあ、真凜には彼氏いるから応援はできないけど、……話を聞くくらいなら私でもできるから!何でも言って!」
「ありがと」
……なんか改めて振り返ると物凄く濃い2日間だったなと思う。
でも、そっか。
凪くん、私のこと好きじゃないんだ。
よかったってそう思うのは、凪くんを傷つけないですんでいたからか、それともまだ凪くんと居てもいいんだって思えたからか。
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はむスター(プロフ) - 茶々さん» 初コメありがとうございます!ブーゲンビリアの花言葉、気づいてくださった方がいて嬉しいです😭 (2023年2月10日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
茶々(プロフ) - 初コメ失礼します!ブーゲンビリアの花言葉でもうしんどいです、、。好みど直球な作品で一気読みでした! (2023年2月3日 22時) (レス) id: 2bcc5ab034 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 莉紅-リク-さん» お待たせいたしました!続編でもお会いできること楽しみにしています!☺️ (2023年1月20日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - おりかさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします☺︎ (2023年1月20日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
莉紅-リク-(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!続編待ってます!! (2023年1月20日 8時) (レス) @page50 id: 24f0804e56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はむスター | 作成日時:2022年12月28日 17時