俺のこと好きになってよ。【ブルーロック】

30-主人公は誰だ ページ30

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凪誠士郎視点


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ようやっと肝試しから解放され、さっさとホテルに戻る。歩くの疲れたな、早く部屋でベットに寝転がりたい。そんな怠惰な気持ちでロビーに足を踏み入れれば、レオがソファで友達数人と談笑しているところだった。


俺に気づいたようで、「お、凪ー！」と片手を上げて近寄ってくる。





「肝試しもう終わったのか？」

「うん。だから早く部屋でゲームしようと思って」

「はは、こういう時でもお前は相変わらずだな」

「合宿なんてめんどくさい。ま、ノルマさえ終われば寝てられるのは楽だけど」

「お前なぁ……。けど、合宿から帰りたいのはちょっと分かるよ。ここだとサッカーできないしな！」

「何も聞かなかったことにする」





レオって本当に主人公体質だ。


主人公がレオなら、俺はその辺にちょこっと登場する名前もつかないモブっていいやって、そう思うのに。





「合宿終わったらすぐサッカーやろうぜ！約束な！」

「めんどくさ〜」





主人公に見つけられてしまったから、残念ながら名前だってあるし登場回数も多くなってしまう。


「今度試してみたいコンビネーションがあるんだよ」とサッカーの話をするレオは、俺が知る限りでは1番キラキラしていて。


Aが好きなのはレオのこういうところなんだよな。


俺には真似できない、何かに一生懸命な姿……。




暫くレオに掴まって散々話を聞かせられた。そんな時だった。ロビーに悲痛な声が響いたのは。





「間宮さんが、……間宮さんがッ！」





Aのこと？俺とレオは一斉に声のした方へ顔を向ける。


声の主は俺と同じクラスの女子だった。彼女は酷く慌てた表情をして、自分を責めている様子だった。友達が駆け寄り、「どーしたの！？」と事情を尋ねる。





「私、肝試し中にイヤリング落としちゃって、それが大切なものだったから落ち込んでいたら……。肝試しが終わった後に間宮さんが探しに行ってくれたの。とりあえず30分だけ探してみて見つからなかったらまた明日にするねって言ってたんだけど……。

__もう1時間以上経つのに帰ってこないし、電話も繋がなくてLINEも既読がつかなくて……！間宮さんに何かあったら、私……」





ひゆっと息が止まる。


Aが行方不明で音信不通……？


そう思った瞬間、ホテルを飛び出していた。





「おい、凪！」





A……。






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