23-もしそうだったら ページ23
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凪くんが私のことを好き……?
私は真凜にジト目を向けて「何の根拠があってそう言うんだか……」とやれやれと溜息を吐く。真凜が恋愛マスターなのは認めるけど、少し恋愛脳すぎるところがある。
真凜はそれでも諦めず「いーや、絶対そうだね!私にはわかる!」と言い張る。
「いくら付き合ってるフリをしてるからって、あんなに人目も憚らずAに甘えてきたりする!?」
「本当に付き合ってるように見せる為のカモフラージュじゃないの」
「生きることさえ面倒くさそうな奴が、Aと帰れるならってわざわざ自転車漕ぐんだよ!?」
「だから、カモフラージュでしょ」
「あと決定的なのは!Aを見る目が超優しい!」
「そう?普段と変わらないと思うけど」
「ああもう!Aはほんとに鈍いなあ」
小声のはずなのに、何故か息切れしている真凜。そんなに体力消耗する会話だろうか。
「じゃあ!もし仮に!仮に、だよ?凪くんがAのこと好きだったらどうするの」
仮に、を強調されたので思わず考えてしまう。
凪くんが私のことを好きだったとしたら。そうだなあ……。
「別れる、かも」
考えた末、溢れたのはそんな一言だった。
真凜は瞠目して「なんで」と驚く。
「私、元々凪くんは好きな人がいないって思ってたから彼女役を引き受けたけど、……もし私のこと好きだったら罪悪感に耐えられないと思う」
「罪悪感?」
バスが止まる。パーキングエリアに着いたみたいだ。ここから20分の休憩が始まる。窓の外では、先に着いたクラスの人達が楽しそうに歩いている。
「散々玲王のこと好きだって話しちゃってたから……すごくすごく凪くんのこと傷つけてたんだろうなって気づいて、自分を許せなくなる。だから。これ以上傷つける前に、別れるよ」
「…」
「ま。凪くんが私を好きとか、有り得ないけどね」
最後にそう締めくくって笑ってみせれば、突如上から両手が頬を包み込むように伸びてきて顔をクイッと天井の方に向かせられる。その先には私の顔を覗き込んでいる凪くんがいた。
「A、外いこ」
「あ、うん。なんか食べる?」
「ん、パーキングエリアデート」
「あはは、デートなの?……真凜、行ってくるね」
「……いってら〜」
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「……あの目は絶対Aのこと好きだろ。んん〜大分拗れてるなあ。仕方ない、真凛様が一肌脱ぐか」
真凜は親友の幸せを願った。
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はむスター(プロフ) - 茶々さん» 初コメありがとうございます!ブーゲンビリアの花言葉、気づいてくださった方がいて嬉しいです😭 (2023年2月10日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
茶々(プロフ) - 初コメ失礼します!ブーゲンビリアの花言葉でもうしんどいです、、。好みど直球な作品で一気読みでした! (2023年2月3日 22時) (レス) id: 2bcc5ab034 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 莉紅-リク-さん» お待たせいたしました!続編でもお会いできること楽しみにしています!☺️ (2023年1月20日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - おりかさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします☺︎ (2023年1月20日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
莉紅-リク-(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!続編待ってます!! (2023年1月20日 8時) (レス) @page50 id: 24f0804e56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はむスター | 作成日時:2022年12月28日 17時