20-無自覚やきもち ページ20
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今まで通り。
今まで通り。
玲王と話す前は呪文のようにその言葉を胸の中で唱える。もう、玲王を好きな気持ちは見せないようにする。ただの幼馴染として、彼に接するんだ。
きっといつか、呪文を唱えなくても大丈夫になる日がくるはずだから。
やがてくるいつかの日のために、今は努力する。
「玲王くん、この前はありがとう!楽しかったよ」
「うん、俺も楽しかった」
「またデートしようね」
玲王が彼女さんと話していたって、いちいち傷ついちゃいけない。
そもそも既に振られた私に、傷つく資格なんてない……。
廊下の窓際で話す2人は、誰が見てもお似合いの美男美女カップルで。
胸の痛みを逃がすように静かに拳を握りしめていると、ポスッと何かが私の肩に触れた。
驚いて振り向けば、凪くんが頭を私の肩に乗せていた。大型犬がじゃれついてきたみたいだ。
「はよー」
「凪くん。おはよう」
「歩くの疲れたあ、連れてってー」
そう言って私に全体重を預けてくる。
う、重……。
「いや無理だって!凪くんを運ぶ力は無いよ私に」
「大丈夫、Aならできる。諦めんな」
「そんな松丘修造みたいなこと言われても……。ほら、自分で歩け」
「ん〜」
「んー、じゃないから、もうっ」
凪くんは自分の足で歩くものの、かなりの体重を私に掛けたままで軽い筋トレみたいになっている。側から見たら後ろから抱き締められているような体勢に、周りからクスクスと笑い声が起きる。
「わ、仲良し。かわいー」
「ね、案外お似合いカップル。推せるー」
「凪誠士郎の大型犬感……」
他クラスの女子達に小声でそんなことを話されていて、恥ずかしさから頬に熱が集まる。
教室に向かう為に進んでいると、窓の近くでイチャイチャしていた玲王達にも遭遇するわけで。玲王の視線が痛いくらい突き刺さる。無視するわけにもいかず、「お、おはよう」と引き攣った笑みで挨拶をする。
可愛い彼女さんが「おはよう。朝からラブラブだね」と冷やかしてくる。うぅ、恥ずかしい。
「凪、教室まであと少しなんだから自分で歩けよ」
「めんどくさくってー」
「はぁ、ったく。仕方ねーな」
重みが消えたと思えば、玲王が凪くんをおぶっていた。
「おら、行くぞ」
「レオには頼んでないけど」
「いいだろ別に」
「まぁ、いーけど」
何故か玲王に凪くんを奪われてしまった。
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はむスター(プロフ) - 茶々さん» 初コメありがとうございます!ブーゲンビリアの花言葉、気づいてくださった方がいて嬉しいです😭 (2023年2月10日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
茶々(プロフ) - 初コメ失礼します!ブーゲンビリアの花言葉でもうしんどいです、、。好みど直球な作品で一気読みでした! (2023年2月3日 22時) (レス) id: 2bcc5ab034 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 莉紅-リク-さん» お待たせいたしました!続編でもお会いできること楽しみにしています!☺️ (2023年1月20日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - おりかさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします☺︎ (2023年1月20日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
莉紅-リク-(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!続編待ってます!! (2023年1月20日 8時) (レス) @page50 id: 24f0804e56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はむスター | 作成日時:2022年12月28日 17時