18-だって君は俺のことが ページ18
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御影玲王視点
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部活が終わった。最後のランニングで相当追い込んだから、凪が地面に這いつくばって「息できない。もう歩けなーい……」とゾンビになっている。それを見た俺はやれやれと苦笑混じりの溜息を吐きつつ、いつもの如く彼をおぶってやる。
「息できてんじゃねーか」
「レオリムジンに一生乗ってたい……」
「流石に一生は無理だっての」
夕陽が沈むのを背に受けながら歩いていると、凪が「A」と彼女(仮)に声を掛ける。それでも俺から降りようとはしない。おい、俺を挟んで会話を試みるな。
Aの目がこちらを捉えて、少しドキリとする。流石にあんなことがあったから、多少気まずさを感じてしまう。
「今日、一緒に帰れる?」
「いや、凪くんめちゃくちゃ疲れてるみたいだし、今日は早く帰ってゆっくり休んだ方がいいんじゃない?」
「デートしよ。今日こそ」
「え」
「Aがデートしてくれるなら復活する」
なんか、凪が普通にAを口説いているように見えるんだが……。俺の勘違いか?
凪は別に、Aを好きなわけじゃないんだよな?他の女子達に告白で呼び出されるのが面倒だから、Aに彼女になってくれと頼んだって言っていたはずだ。Aもその頼みを承諾したから、彼女役を演じているだけで。
なのに、なんで、普通のカップルの会話を聞いているような気分になるんだろう。
そしてなんで、引っ込んだはずのモヤモヤが再び生まれているのだろう_____。
「あー、ごめんね凪くん」
Aが申し訳なさそうに頬をかいて切り出す。
「実は無断外泊したからお母さんがめっっちゃ怒っちゃって……2週間学校と部活以外の外出禁止令を言い渡されまして、……それと部活が終わったらすぐに家に帰るようにともラインで言われちゃいました……あはは、」
「だからデートはしばらくできそうにないんだ、ごめんね」と両手を合わせて謝るAに、凪は「……うぃ」とあからさまに残念そうに鳴く。
デートはしばらくできない、Aがそう言った瞬間、微かにホッとしている自分がいた。
____だってAは俺のことが好きだから。
そんな言葉が頭を過ぎるが、「いやいやいや!」とすぐに生じた優越感を追い出す。Aがデートしないのは外出禁止令があるからであって、俺は関係ない。
「玲王、凪くんを家まで送り届けてあげてね」
「頼んだよレオ」
「……おー」
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はむスター(プロフ) - 茶々さん» 初コメありがとうございます!ブーゲンビリアの花言葉、気づいてくださった方がいて嬉しいです😭 (2023年2月10日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
茶々(プロフ) - 初コメ失礼します!ブーゲンビリアの花言葉でもうしんどいです、、。好みど直球な作品で一気読みでした! (2023年2月3日 22時) (レス) id: 2bcc5ab034 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 莉紅-リク-さん» お待たせいたしました!続編でもお会いできること楽しみにしています!☺️ (2023年1月20日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - おりかさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします☺︎ (2023年1月20日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
莉紅-リク-(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!続編待ってます!! (2023年1月20日 8時) (レス) @page50 id: 24f0804e56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はむスター | 作成日時:2022年12月28日 17時