15-初恋の君へ ページ15
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涙を拭うことも忘れ、ただただ目の前にいる玲王を見つめた。
放課後の騒めきなんて耳に入らない。視覚も聴覚も、五感のすべてが玲王に釘付けになっていた。今だけはひたすらに、初恋の彼に好きだと伝えたかった。
「……俺？」
玲王が大きく目を見開く。
信じられないとでも言いたげな表情に、やっぱり全然気づいてもらえてなかったんだなと悲しくなる。
「うん」
「凪じゃなくて、俺を？Aが？」
「〜〜ああもう！そうだよ！間宮Aは！御影玲王が好きなの！小学生の頃からずっと、……ずっと」
玲王は呆気に取られた表情を浮かべる。
もうどうにでもなれの精神でつい叫んでしまった。
“小学生の頃からずっと”
それを口にした瞬間、ようやく玲王に想いをぶつけている実感が湧いて、ここまで本当に長かったなあと再び涙腺が緩んだ。
ここまで来たら、当たって砕けろだ。制服のスカートを握り締めて続ける。
「玲王の、サッカーしている時の真剣で楽しそうで、キラキラしている表情が、1番好き。玲王がワールドカップで優勝するなら、
______1番近くで支えたいって、思ったの……」
玲王の目をじっと見つめて言う。
これが今の私に言語化できる最上級の告白だった。一息ついて、忘れかけていた涙を拭う。……やっと言えた。閉じ込めていた想いがようやく解放されて、なんだか心が軽くなった。
玲王はくるりと背を向ける。
「……ありがとう。そんなふうに言ってもらえて、Aの気持ちは嬉しい」
「うん」
「けど、ごめんな。俺には今彼女がいるし、その……Aのことは幼馴染としてしか、見たことなかったから」
「……うん」
与えられた答えは思っていた通りのものだったけれど、分かってはいても気持ちが受け取ってもらえないのは凄く苦しかった。
背を向けたまま「ごめん、」と繰り返される。
振られたんだ、玲王に。
長い長い初恋が報われることはなかった。
「……ちゃんと返事くれてありがとう」
それでも。例え報われることがないと分かっていたとしても、勇気を出して面と向かって想いを伝えられた自分が、……少しだけ誇らしく思えた。
だから、もう十分。
「彼女になれなくても、玲王のことは“今まで通り”応援してるから」
「……ん、さんきゅ」
ありがとう玲王、私に色んな感情を教えてくれて。
初恋はもう、これで終わり。
そう、思っていたのに。
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はむスター(プロフ) - 茶々さん» 初コメありがとうございます！ブーゲンビリアの花言葉、気づいてくださった方がいて嬉しいです😭 (2023年2月10日 17時) (
レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
茶々(プロフ) - 初コメ失礼します！ブーゲンビリアの花言葉でもうしんどいです、、。好みど直球な作品で一気読みでした！ (2023年2月3日 22時) (レス) id: 2bcc5ab034 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 莉紅-リク-さん» お待たせいたしました！続編でもお会いできること楽しみにしています！☺️ (2023年1月20日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - おりかさん» ありがとうございます！続編でもよろしくお願いします☺︎ (2023年1月20日 17時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
莉紅-リク-(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！続編待ってます！！ (2023年1月20日 8時) (レス) @page50 id: 24f0804e56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむスター
| 作成日時：2022年12月28日 17時
