02-退屈しのぎの相手 ページ3
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リピートアフターミー。
MU CHA BU RI!
面白い話してと話題を振られて、期待通り面白い話を提供できるはずがない。どこか達観していた子供時代を送った私は既にその境地に辿り着いていた。
昨日学校でこんな事があってさ〜、なんて話しても「ふーん、で?」とすべる未来は見えていた。……面白くない話したらどうなるんだろ。まさか、……ころされる!?
達観的であったけど、妄想が激しい一面も持ち合わせていたのだ。
そういえば次期当主とかほざいていたなと思い出し、下手なエピソードは話せないといきなり緊張感が背中を走る。
「早よせぇや」
何も話さないでいると苛ついたように促され、ビクッと心臓が縮こまる。
とりあえず何か、何か喋らなきゃ……と打開策は浮かばないまま口を開いた。
「な、直哉のお誕生日はいつ?」
そこから思いつくままに質問攻めにした。
好きな食べ物は?
嫌いな食べ物は?
兄弟はいるの?
何するのが好き?
好きな飲み物は?
好きな色は?
好きな動物は?
好きなキャラクターは?
……etc.
私だけが喋って盛り上がらなかったら私がすべってしまうことになるので。それならコイツにも喋らせてやろう、と質問を重ねることにしたんだ。直哉も本当に暇だったからか、私の質問に素直に答えてくれた。
そうして81個目辺りの質問で母が姿を現した。私はホッとして大きく手を振った。
「あ、お母さん!終わった?」
母はギョッとしたように駆け寄ってくると、座る私を後ろから庇うように抱き締めた。
「お母さん?」
「な、直哉様。その……」
直哉は震える母のことなど眼中に無さそうで、徐に立ち上がった。私だけを見つめたまま言う。
「おかげさんでまぁまぁ退屈はしいひんかったわ。Aちゃんならまた相手したってもええよ」
直哉はどうして私に好印象を持ったのか。本家の人達は身内含めて直哉の才能や術式を讃える人は多かったものの、直哉個人に関心を向ける人はいなかった。
そんな中で私が直哉個人に興味を持っているような質問ばかりをしたから、初めて自分だけを見てくれたようで嬉しくなった。
……だからなのかな、と大人になった今では思う。
それから本家に行く度に直哉に絡まれるようになった。
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はむスター(プロフ) - さえさん» クズ男の自信のない告白いいですよね!!← お読みくださりありがとうございます☺︎ (1月31日 23時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - ......好きなんやが狂うほど好きです!!!!!! (1月26日 20時) (レス) @page17 id: 06c640ba36 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 雪菜さん» いつもありがとうございます!☺️うちの夢主は容赦ない時はほんとに容赦ないですからね…!笑 (1月26日 18時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - 傷ついた顔をした直哉にも容赦ない夢主が大好きです…🤦♀️💞 (1月24日 16時) (レス) @page15 id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - xs.さん» ありがとうございます嬉しいです!☺︎ (1月23日 23時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はむスター | 作成日時:2024年1月13日 17時