検索窓
今日:25 hit、昨日:29 hit、合計:14,784 hit

12-友達には戻れない ページ13

.





蹴られたお腹を庇いながら、涙の滲む目で睨みを効かせる。





「直哉だって、殴ったり蹴ったりすれば私が言うこと聞くと思ってんでしょ」

「何やその言い草は。3歩後ろから男を立てられん女は死んだらええんや、Aちゃん」





13歳の頃、直哉に殴られて反抗を諦めた前科があるから。その出来事からきっと、女は私は暴力に弱いと認識してしまったんだ。その点は私のミスでもある。


もし、あの時反抗を諦めなければ。

友達でいたいと訴えていれば。


こんな上下関係なんて成立していなくて、出会った頃のままの緩い友達でいられたのかな。


直哉を変えてしまった原因は私にもあるんだ。……1ミリ、いや1ミクロンくらいは。


今からでも間に合うかな。ズレにズレまくった軌道を修正するのは今でも遅くないだろうか。


立ち上がって、少しでも対等な位置から物申すことにする。





「……私、この家に来るのは最初から好きじゃなかった。退屈だし、見下ろされてるし、息苦しいし。お母さんに連れられながら、早く帰りたいなってずっと思ってた。……でも、直哉がいたからまだマシだった」

「…」

「この家にいる時間の中で直哉と話す時間だけが、唯一嫌いじゃなかった。また本家に来ることになっても直哉がいるならまぁいいかってそう思えるくらいには……、友達だと思ってたんだよ」





ツラツラと突然語り出した私に、口を挟まない直哉。長く言葉を発していると感情が昂ってまた涙が込み上げたので、雑に拭った。





「私、前みたいに直哉と友達でいたい。これってそんな高望みなことなの?」





13歳の時にこうやって主張していれば、今とは違う関係でいられたのだろうか。


少し目線を下げた直哉は、戸惑いながらも「高望みやろ」と続けた。





「……女が、俺と対等でいられるわけないやん」

「私のこと女って括りでしか見れないの?」

「…」

「……そっか、わかった」





じわじわと毒のように痛みが強まっていくお腹。どうせここにいるのは限界だった。


私が友達だと思っていた直哉はいない。

確信できたから、覚悟はついた。


痛みを我慢して「失礼します」と部屋を去ろうとする。「待て、まだ話は、」と追いかけてこようとしたから顔だけで振り返る。





「もう、この家には来ない。お母さんは安全な場所に避難させるから」

「は?んな事俺が許すわけ、」





どうせ最後になるならと言ってやった。





「禪院家も直哉も、大っ嫌い」






.

13-嫌や→←11-裏切られた友情



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (69 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
259人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 禪院直哉   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

はむスター(プロフ) - さえさん» クズ男の自信のない告白いいですよね!!← お読みくださりありがとうございます☺︎ (1月31日 23時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - ......好きなんやが狂うほど好きです!!!!!! (1月26日 20時) (レス) @page17 id: 06c640ba36 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 雪菜さん» いつもありがとうございます!☺️うちの夢主は容赦ない時はほんとに容赦ないですからね…!笑 (1月26日 18時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - 傷ついた顔をした直哉にも容赦ない夢主が大好きです…🤦‍♀️💞 (1月24日 16時) (レス) @page15 id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - xs.さん» ありがとうございます嬉しいです!☺︎ (1月23日 23時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:はむスター | 作成日時:2024年1月13日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。