ＷＨＩＴＥ (ページ2)

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僕は世で言ういじめられっ子だった。

親が教師だった影響か、昔から読書ばかりで外遊びをせず無駄に頭でっかちに育った僕は、同級生の男の子と比べると体力的に劣る部類に入っていた。

小学生の男子社会は体力のあるものが上に立つ。

僕はヒエラルキーの最下層にいた。

僕はまずパシリにされた。

家が金持ちだったのもそれに拍車をかけた。

僕が、何かにつけて引き合いに出されいじめられる正真のいじめられっ子に落とされるのも時間の問題だった。

地獄の日々は、閉鎖的な地域のせいもあって中学生になるまで続いた。

そんな僕の救世主。

僕のたった一人のヒーロー。

集団リンチにあっていた僕を助けてくれた、僕の唯一の味方。

「やめなよ、いじめなんて」

智くんと出会ったのは暑い暑い夏の日。

どろどろに溶かされてしまいそうな、夏の日。

「弱いものイジメをする人って、いじめられてる人より弱いんだって。可哀想だね」

興奮してイキがったいじめっ子達は彼に襲いかかった。

でも、彼は強かった。

どろどろに溶かされる夏の日。

呻き声をあげて踞る彼らに、智くんは淡々と勝利を宣言した。

「無駄だよ。お前らが力の無さを実感するだけだぜ」

智くんは本当に格好良かった。

僕に微笑んで手を差し伸べてくれた。