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「お母さんって……Aさんの方がよく知ってると思うけど、自分の為にお金使わないじゃない?」
「そうだね。趣味もなかったし」
「だよね。でもある時、雑誌を何冊か買って押し入れに入れてるのを見たんだ」
「雑誌?」
「うん。それで、両親が仕事に出てる時、悪いなとは思ったけど勝手に押し入れを開けた。
そうしたら、雑誌だけじゃなくて、CDやDVDがずらーっと並んでたの」
「それ全部お母さんが……?」
「そう。僕もビックリして。
でね、よく見たらそれ全部V6だった。
何冊もファイルがあって、それを開いたらほとんどがAさんの記事の切り抜きだったんだ」
「うそ……」
「前にも言ったけどこの時の僕は、Aさんとお母さんが親子だとは知らなかった。だから、“お母さんも好きな芸能人がいるんだな”くらいにしか思わなくて」
初めて聞く話だった。
母が応援してくれているのは伝わってきていたけれど、
まさかそこまでしてくれていたなんて……。
「ある時、お母さんとテレビを見てたらV6が歌番組に出てたの。
お母さんの顔みたら、すっごくキラキラしてて。
あんまりにも見入ってたから話しかけられなかった」
「見てくれてたんだ」
「うん。それで、お母さんをあれほど感激させられるV6の事が気になったんだ。
1人で留守番してる時に、こっそりライブDVDを見たの。もう……衝撃的だった。
あっという間にファンになりました」
「嬉しい」
「家でライブDVD見てたらね、お母さんに『誰を応援してるの?』って聞かれて、『Aちゃん』って答えたんだ。
そしたらね、『お母さんもAちゃんが好きなの。努力家で、ジュニアの頃から笑顔を絶やさない子だったのよ』ってすっごく饒舌で……」
シュンちゃんの口から語られる母は
私の全く知らない姿だった。
ただただ嬉しかった。
擦れ違いの時期も経て親子になれたはずが、
最期のお別れもろくにできなかった後悔があった。
それを、シュンという存在が和らげてくれているようだった。
「シュンちゃんが弟になってくれて良かった。
シュンちゃんが、私とお母さんのこと繋いでくれたんだよ。お母さんの事、見ててくれてありがとう。教えてくれてありがとうね」
「僕も、お母さんと親子になれて、Aさんときょうだいになれて、本当に良かったです。こちらこそ、ありがとう」
ちょっと照れくさくて笑った。
本当の“きょうだい”になれたみたいで嬉しかった。
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ヨ-リン(プロフ) - ななさん» ななさんコメントありがとうございます!デビュー当時から応援されていらっしゃるのですね。後からファンになった者としては頭が下がる思いです。本当にありがとうございます。そのようなお言葉を頂けて大変嬉しいです。ななさんに読んで頂けて幸せです! (2021年11月1日 15時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 初めてコメントします!V6がデビューした時からずっとファンです。色々な夢小説を読んできましたが、ヨーリンさんの『逢いたい時は虹を見る』・・・凄く感動して涙が止まらなかったです・・・。素敵な小説が読めて嬉しかったです♪ (2021年10月30日 4時) (レス) @page50 id: d94915e265 (このIDを非表示/違反報告)
ヨ-リン(プロフ) - ユキコさん» 初めてのコメントありがとうございます。勿体なきお言葉の数々……とても嬉しいです。ユキコさんにこの物語に出会っていただけて幸せです!こちらこそありがとうございます。 (2021年8月18日 0時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
ユキコ(プロフ) - 初コメです!!こんなにも温かい気持ちになれる物語をありがとうございました!!最後の方は本当に涙が止まらなかったです。こんなにも素敵な作品に触れ合うことが出来て良かったです。ありがとうございます!! (2021年8月16日 0時) (レス) id: 6c683a7630 (このIDを非表示/違反報告)
ヨ-リン(プロフ) - NIJIIRORENGEさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたこと、幸いです。本当に心の支えです。 (2021年3月12日 20時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨーリン | 作成日時:2021年2月16日 0時