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三宅「ここの地酒が合うんだって」
メニュー表と私の顔を交互に見ながら言った。
「なんでそんなに勧めるの？(笑)」
三宅「俺はお酒弱いしニガテだけど、Aがおいしそうに呑むの見るのは好きだし」
「えー？」
なんだかんだ健くんのペースに乗せられ、
この地域で造られたという日本酒を頂いてしまった。
まだ日が高い時間。
若干後ろめたい気持ちはあるけど、
お料理との相性は抜群で思わず舌鼓を打った。
「ねぇ健くん」
三宅「ん？」
「なんでそんなに人の気持ち分かんの？」
三宅「なんでそう思うの？」
「今日だってそうでしょ？ 私の様子がおかしいからお出かけ誘ってくれたんじゃない？」
ぽかぽか身体が火照ってきて、
ずっと抱え込んでいたことを口走っていた。
「あのね、母が再婚するんだって……」
健くんは、予想外だというような表情を一瞬した。
「その話聞いた時ね、私なんとなく寂しかったの。
もう一緒に住むわけじゃないし、小さい子じゃないからお母さんを取られたとかそんなんじゃないけど」
またひと口お酒を喉に流す。
「『良かったじゃん、あんな家出られて』って言っちゃったんだよね。“あんな家”でも、お母さんが働いてくれてたから私も生活できてたのに……。
せめて『おめでとう』のひとことくらい言えたら良かったのかな……ってずっと自己嫌悪で」
この場所も、このお酒も、
私が胸中を吐露するための
健くんの作戦だとしたって
“デート”と銘打ってここに居る以上、
泣き顔は相応しくないと思って堪えた。
三宅「Aは悪くないよ。
もし俺がAの立場なら……やっぱり言えない気がするから」
健くんは真っ直ぐ私を見て言う。
私の涙は零れる手前。
偽物の笑顔で誤魔化した。
「ごめんね、健くん。暗い話して」
三宅「俺、Aの話が聞きたくて誘ったんだよ。だから謝ることなんてないの」
じわりと視界が滲んだけれど
それは寝不足のせいなんだっていう言い訳だけは、
頭の中で考えたおいた。
健くんはそれ以上何も聞いてこなかった。
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ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - tataichihi0719さん» そのように言って頂き、とても嬉しいです！最後までお付き合い頂けますと幸いです。 (2021年2月3日 0時) (
レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - わーいなんださん» 嬉しいコメントをありがとうございます。これからも楽しんで頂けるよう、頑張ります！ (2021年2月3日 0時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
tataichihi0719(プロフ) - 続きが待ち遠しいです！ (2021年2月3日 0時) (レス) id: d7d462c614 (このIDを非表示/違反報告)
わーいなんだ - 一作目、二作目とどちらも楽しく読ませてもらっています！ (2021年2月2日 15時) (レス) id: 3110676615 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾖｰﾘﾝ | 作成日時：2021年1月26日 21時
