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静まり返ったリハ室。
どのくらい時間が経った頃か分からない。
坂本くんが戻ってきて、
「打ち合わせ、今日は俺らだけでやらせてくれって伝えてきたから」
と言った。
「ごめんなさい。迷惑かけて……」
坂本「Aのせいじゃないから」
そう言って、
坂本くんはさりげなく自分の上着をかけてくれる。
これで7人全員が揃った。
メンバーはそれぞれ離れた位置にいて
私を直視しないよう気遣いながらも
心配してくれていることが伝わってきた。
沈黙の後、私は覚悟を決めて口を開いた。
「……聞いてくれる？
さっきの撮影、散々だったんだ」
リハ室全体に緊張が走る。
「ベッドシーンで……
キスだけの予定だったんだけど、
やけに長いと思ったらコレで」
話しながら、改めて自分の胸元を見る。
「気持ち悪いって思ったけど、言えなかった」
さっきのことを思い出して、身震いがした。
「狼狽えてたらね、カットがかかった後、
『いつも一緒にいる男らの相手してんじゃないの？』って言われて。
『事実無根です。そういった経験もありません』って言い返したら、『へー、意外』って……」
ニタニタ笑うその人の目付きが脳裏に張り付いて離れなかった。
「実は今までもネットとか、色んな所で耳にしてきたんだ。
社長と愛人契約してるとか、カラダ売ってジャニーズに生き残ってるとかね。
やっとそういう変な噂から抜け出せたと思ったけど、自惚れだった……。
まだそういう目で見られてんだと思うと悔しかった。やっぱり私、ここに居ちゃいけないんだよ」
ああ、言ってしまった。
私の中で留めておこうと思った苦しみを
今回の件に紐付けて口を滑らせてしまった。
メンバーにネガティブな感情を伝える必要なんてなかったのに。
ただ淡々と事実説明だけをすれば良かったのに。
そんな弱い自分が嫌いだ。
もう取り返しがつかない。
6人の目に私はどう映っているのか……
それを考える余裕はなかった。
私は今、泣いているのだろうか。
それとも、
得意のフェイクの笑顔を作っているのか。
そんなことすら感じられなくて。
いっそのこと、
初めから私という存在なんて無かったことになってほしい。
私は暗い闇の中に置き去りにされたような、
底の知れない絶望感に襲われていた。
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ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - tataichihi0719さん» そのように言って頂き、とても嬉しいです！最後までお付き合い頂けますと幸いです。 (2021年2月3日 0時) (
レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - わーいなんださん» 嬉しいコメントをありがとうございます。これからも楽しんで頂けるよう、頑張ります！ (2021年2月3日 0時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
tataichihi0719(プロフ) - 続きが待ち遠しいです！ (2021年2月3日 0時) (レス) id: d7d462c614 (このIDを非表示/違反報告)
わーいなんだ - 一作目、二作目とどちらも楽しく読ませてもらっています！ (2021年2月2日 15時) (レス) id: 3110676615 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾖｰﾘﾝ | 作成日時：2021年1月26日 21時
