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どんどんゾムさんの顔が迫ってくる。
痛いかな、飲まれたときにあげる薬持ってたっけ、ショッピくん怒るかな……恐怖を感じていたのに、ぼんやりとそんな事を考える自分がいた。
覚悟を決めて目を瞑る。首筋に息がかかり、体に力を込めた瞬間───ヴッ、とゾムさんの呻き声が聞こえた。
「ハルキ！！」
「ショッピくん、」
「〜〜〜〜ッてぇ…ショッピくん暴力はナシやろ………」
「っゾムさんがこんな事せんかったら、ハァ、手出しませんでしたよ」
目を開けるとそこには、頭を押さえるゾムさんと拳を握って息を切らすショッピくんがいた。見て分かる通り、ショッピくんがゾムさんを殴った後だった。
……危なかった。もう少しで一生の終わりだった。ショッピくんには何回も助けられていて、感謝してもしきれない。
「なんもされとらん……よね？」
「うん、大丈夫…」
「ゾムさんさっさとスマホ返してもらっていいすか」
「おれ……仮にも先輩なんやけど………？」
「今はそれ関係ないですてかこういう時だけ先輩って言うのやめましょ？」
「クッ………！」
図星をつかれた様子で、大人しくスマホを返してくれた。画面を見るとすでに通話が切れている。
なんとか命の危機は免れた。風紀委員というだけあって、危険が迫ると助けてくれるんだなぁ。
前回のコネシマさんが助けてくれた時も、確か危ないところだった気がする。でも三度目の正直で次はダメかもしれない。
「ふーーーやっと痛み引いてきたわ」
「もう１発入れましょうか」
「イヤやめてくれ！」
「遠慮しなくてもいいっすよ」
「………あ、あ〜〜！ ショッピくんはなんでこんな過保護なん！？」
「アンタらが粘着するからでしょ」
２人を尻目に見ながら ふとこう思った。
ここに私いる……？と。空気になりすぎてて、１周まわって心が落ち着いてきた私だった。
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作者名：かえち
| 作成日時：2023年3月12日 20時
