１７．事情説明 ページ18
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「先輩とこうやって食堂で話すの久しぶりですね」
「せやなあ」
トントン先輩と仲良くなってから久しぶりに食堂でバッタリ会った。なんでも、今日はたまたま食堂で食べる予定だったらしい。私としてはとても嬉しいので好都合である。
食堂には人が多いので、トントン先輩に近づいてなるべく小さめの声で話しかけた。
「エーミール先輩から聞きました……先輩って、なんでも器用にできるらしいんですね」
「聞いたんか。まぁ…要するに器用貧乏やな。俺もエミさんからハルキさんのこと聞いたで？」
「どう思います？私の」
「大変そうやなーとは思う」
トントン先輩は苦笑いをした。そりゃそうだ、メリットというよりデメリットだもん。厄介事が増えるだけで、皆に愛されて最高！とはならない。
純血の中にちらほら効いてない人がいるのが救いである。そんな人が私と仲良くしてくれると、あぁ心から仲良くしてくれてるんだなって分かる。先輩２人がいい例だ。
「…………なんかされとらん？大丈夫？」
「今のところ大丈夫ですよ。結構重いこと言われますけど、手は出されてないので」
「そか。なら良かったわ。ハルキさんになんかあると心配やねんな」
眉を下げて心配そうな表情をするトントン先輩を見て、私は思わず「先輩……！」と叫びたくなった。本当に優しくて聖者みたい。
実はほんの少しだけ不安な気持ちがあったから、気遣ってもらえると涙腺にくる。泣きそうなのをグッと堪えて、笑顔を作った。
「─ありがとうございます。先輩のおかげで頑張れそう」
「重大な事とか起きたらいつでも呼んでな？ いつでもパシってええから」
「え、そんな。申し訳ないです」
「俺にできんのはこれくらいやから、遠慮せんで」
先輩の好意に甘えて、私は元気よく頷いた。
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作者名：かえち
| 作成日時：2023年3月12日 20時
