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「うん、私にチーノくんの気持ちは分からなかった。でもね、不安な気持ちは私も同じだよ」
「……………は………？」
「……ここに転校してきて、実は私の血が他と違うって事を初めて知らされたの。いきなりそんなこと言われても理解できなかったし、私って変わり者なんだってすごく不安だった」
「………」
「でもね、意外と乗り切れるんだよ。不安材料を消す方法はいくらでもあるもん。だんだん『人と違う私でもいっか』って思えるようになるよ。なんでそんなに混血なのが嫌なのか想像できないけど、チーノくんは大丈夫。私が保証する」
………先輩が、俺に微笑みかけてくれた。女神のような笑顔で俺に救いの手を差し伸べてくれた。
混血だと知られたら絶対先輩に嫌われるから怖かったのに、先輩の様子は昔と変わらない優しいままだった。拒絶しないで受け入れてくれた。
背中に触れる先輩の手が温かくて胸のつかえが取れていく。
「……せんぱい………ハルキ先輩は、おれが混血でもええの……」
「うん。純血混血関係なしに、チーノくんはチーノくんでしょ？」
──ああ、昔もこういうことあったなぁ。俺が同級生とのトラブルに悩んでる時、先輩は俺を虜にする笑みで柔らかい言葉をかけてくれた。
先輩は昔と何も変わっていない。男たらしになってたとしても、先輩は先輩やもん。
「………先輩がそう言ってくれんなら誇らしいです。ハァ…やっぱ先輩のこと好きやなぁ……もうおれのこと思い出さんくてもええから、おれだけを見とってよ………」
隣にいるハルキ先輩を思わず抱きしめてしまった。それくらい自制が効かなくて、やっぱ先輩やないとダメって改めて思わせられた。俺には先輩しかおらん。先輩をとったらもう俺にはなんも残らへん。
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作者名：かえち
| 作成日時：2023年3月12日 20時
