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「上手くいって良かったなあ」
「はい！トントン先輩のおかげです。ありがとうございます！」
「俺なんもしとらんで？？？」
「居てくれるだけで助かるんですよ」
少しクサイ台詞を言ってしまい、後から恥ずかしさがジワジワと込み上げてくる。もしかしたらゴミを見るかのような目で見られてるかも……いやいや、トントン先輩に限ってそんなことあるわけ……でも先輩そういうのに定評あるし…………
１人で思考をヒートアップさせていた時、不意に隣から優しくて甘い微笑が聞こえた。その声に気を取られた瞬間、頭にトントン先輩の手のひらが乗せられる。
「ハルキさんは優しいんやな」
「………！」
「俺も、ハルキさんがおってくれるから助かる事がめちゃめちゃあるんよ。ありがと」
国宝級の顔が私のために表情を緩ませる。しかも頭を撫でてくれるオプション付きで。
突然トントン先輩が甘くなった。直前まで調子よく回っていた頭は完全に思考停止し、喉辺りで言葉が詰まって声にならない。
急に固まった私を見て、トントン先輩は再び柔らかい顔で笑うのだ。
「ぁ、せ、せんぱい」
「どした？」
「なんか、……お兄ちゃんみたいです」
「ああすまん。つい」
特に慌てた様子もなく、先輩は手をパッと離した。そんなトントン先輩が本当にお兄ちゃんみたいで、兄がいたらこんな感じなんだろうなと想像を膨らませる。
顔がいい人ってみんな自然にこういうことするよね。例えばショッピくんとか、鬱くんもそうだ。慣れれば私もできるだろうか。
「今度先輩にもお菓子作りますね」
「ほんま？ 俺もハルキさんに作ろー思っとったで」
「じゃあ贈りあいましょ！」
「ウッキウキやなぁ」
「だってトントン先輩の作る物って絶対美味しいじゃないですか……！」
「はは、期待通りかは分からんで？」
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作者名：かえち
| 作成日時：2023年3月12日 20時
