＊ ページ40
.
俺の初恋は小学校３年生のとき、１つ歳上の女の子だった。
その子の名前は───ハルキちゃん。最近友人が頻繁に話す転校生の"ハルキ"って人が恐らく俺の初恋相手だ。最初は同じ名前の人もおるんやなぁくらいしか思わなかったが、詳しく聞けばまさかの苗字も一致しとって。これはもうその子しかないやろ！と。
小３にしてハルキちゃんに一目惚れしたマセガキの俺は、異常なくらい彼女にくっついていた。イヤな顔をせずに毎日遊んでくれた彼女は間違いなく俺の天使や。
「懐かしいな〜ほんまに…」
ま、俺はあの頃から変わっちゃったんやけどねぇ。
………小４になったタイミングで、俺はとある事が原因で引越しせざるを得なかった。もう彼女とも一生会えることはない、俺の初恋よサラバーーーってあん時は泣いてたな。
でも奇跡が起こったんや。冒頭でも言った通り、同じ学校にハルキちゃんは転校してきてくれた。運命以外の何物でもない。
昔から俺に優しいのは彼女だけやったし、俺が気を許したのも彼女だけ。ハルキちゃんは特別──……いやそんな言葉で片付けられへん。俺たちは、やっすい言葉で表現していい関係やない。…………はずやのに……俺のことを覚えとらんって、おかしない？
「５年以上想ってた俺の気持ちはどうなんねん…………俺たちは通じあってたやろ……好きやから優しくしてくれたんじゃないん……？」
一度口に出すと想いが止まらなくなる。俺の知人……ショッピだけやない、トントンもゾムも大先生もみんなして彼女の名前を呼ぶんだ。昔は男に媚び売る女の子じゃなかった。俺だけに優しかった。それなのに先輩達まで虜にして、その上俺のことを忘れている。
ハルキ先輩だけは、ずっと変わらんでいてほしかった。顔は昔の面影があったが、性格はすでに面影の お の文字もない。俺には先輩しかおらんのに。
……なーんて考えてる俺が異常すぎるってことは自分じゃ全然気づかないものだ。もう、手遅れや、俺は。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 527人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かえち
| 作成日時：2023年3月1日 20時
