【d!】盲愛救済Ⅰ (ページ4)

今日:18 hit、昨日:32 hit、合計:129,893 hit

＊ページ4

.

　この学校は広すぎる。８階建ての校舎に１０００人以上の生徒。それに加えて校舎並みの大きさの寮。閉鎖的な田舎で暮らしていた私にとって、こんなに大きな学校は見た事がなかった。

　教室に入って自己紹介をした時も、大人数からの視線に胃がキリキリした。

「ここがハルキさんの部屋ですね」

　先生から寮に案内されて、長い廊下をしばらく歩いて、やっと自室に辿り着くことができた。新しい私の部屋は引っ越す前の私の部屋よりも全然広かったので、思わず驚嘆の声が漏れる。

　無意識に自信無さげな顔をしていたのか、先生が背中をさすってくれた。

「不安な事があったらいつでも話に来てね。先生に任せちゃって！」
「先生……」
「明日から頑張りましょ。そのためにも今日はゆっくり寝てください」
「ありがとうございます…！」

　先生が帰ると、私の部屋に静寂が訪れる。
カーテンを開ければ無数の星が光り輝いていた。キラキラ輝く数々の星と、自分の部屋に置いてあるまだ荷解きされていないダンボールを見て、途端に寂しくなった。

　寂しさを紛らわすためにテレビをつけても、混血と純血関連のニュースが放送されている。昨日まではそんなニュースにも全く無関心だったが、クラスメイトの牙をこの目で見て、やっと自分の環境を実感する。

「……」

　これから先は長いんだ。こんな事でいちいちしんみりする時間なんて無い。変わらなきゃいけない。

「(自分の身は、自分で守らないと)」

　夜空を眺めながら、今までで１番強い決意を固めた。

.