友達の居ない女子高生と大学生ウォヌさん

抜け出して ページ41

『ウォ、ウォヌさん……』





「なに、泣いてんの」






すっかり涙声になった状態でウォヌさんの名前を呼ぶ。ウォヌさんは私が泣いていることに素で驚いているようだった。





『会いたい……』





「…………」




顔が見たい。直接私の気持ちも伝えたい。それでもう一度さっきの言葉を直接聞きたい。



時刻は２２時。高校生が出歩くにはもう遅い。



親からも許可を貰えないだろうけど、そんなことは今眼中になくて、ただウォヌさんのことだけを考えて言った。



ウォヌさんも時間の都合に少し悩んだのか、私の言葉の後に間が空いたけど、





「……いいよ。抜け出しておいで」





と言って、ウォヌさんは場所も何も伝えないまま電話を切ってしまった。




電話が切れたことには驚いたけど、私は赤く腫れた目を雑に拭って、家の鍵とスマートフォンだけを持って１階に降りた。



リビングでは両親がテレビを観ている。テレビの音で掻き消されるように、ゆっくりと玄関扉の鍵を開け、そっと外に出て鍵を閉める。



両親が私の不在に気付かず、あのままテレビを観ていてくれれば良いんだけど……。




外は寒かった。１２月の２２時を舐めすぎていたようで、私は長袖のパーカー１枚という格好のまま出てきてしまった。



せめて何か羽織ってくるべきだった……けど、もう一度家の中に入ってまた出てくるのはバレるリスクを伴う。



私はこのまま向かうことに決めた。



だけどいざとなるとどこに向かえば良いのかさっぱり分からない。会いたいとは言ったがどこで落ち合うか、場所も聞いていない。




ウォヌさんも気付いているだろうか。私はとりあえず自宅から離れたくて、歩きながらスマートフォンを取り出してウォヌさんにもう一度電話をかけようとした。









「Aちゃん」

彼女→←気付けた気持ち

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す