驟雨 ページ4
その日の放課後。
私は当然のように帰宅部なので、そのまま家に直帰するため、そそくさと電車に乗り込んだ。
電車に乗ったところで、私はとある人物を思わず二度見してしまった。
『(あのお兄さんが居る……！！？)』
周りに怪しまれないように私は慌ててお兄さんから目を逸らして、空いている席に座った。
朝以外にあの人を見たのは今回が初めてだから、びっくりした。お兄さんは朝と変わらず、イヤホンを着けてスマートフォンを見ている。
お兄さん気付いてますか。私朝も貴方と同じ電車に乗っていたんですよ。
なんて、伝わるはずもないテレパシーを送る。
私はこの人のことをこんなに意識してしまっているけど、相手は私のことを認知さえしていないんだろうな。
そう思って、少ししんみりとした気持ちで窓の外を見る。
先生に居眠りがバレて、慌てて起き上がる学生みたいに、私が窓を見た瞬間、いきなり雨が降り出した。
驟雨だ……そういえば傘持ってないや。
どうしようと思っていても、電車は常に進んで、私の家の最寄り駅に到着する。
私が席を立ち上がると同時に、お兄さんも立ち上がった。
朝は降りる駅は違うけど、今回は同じ。
お兄さんも今から帰るみたいだ。
駅に到着したところで、傘を持っていない私はどうすることもできない。
ここの駅はお店なんかも併設されていない無人駅だから、傘を買うことはできないし。
両親はまだ仕事だろうな。
とりあえず今の時間を確認するために、ブレザーのポケットからスマートフォンを取り出した。
と、思ったら、スマートフォンは意図も簡単に私の手から滑り落ち、そのまま駅の床タイルをスルスルと滑って向こう側まで行ってしまった。
『(な、何故そんなヘンテコな方向に……！)』
私が咄嗟にスマートフォンを追い掛けようとしたところで、スマートフォンがとある人物の足元でピタリと止まる。
その人は足元に止まったスマートフォンを拾い上げて、私のことを見た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1450人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんね - なみさん» 新年一発目にありがとうございます！なんか照れます！笑 良いお年をお迎えください〜！ (2021年1月1日 3時) (
レス) id: 8a433fff5f (このIDを非表示/違反報告)
なみ - 新年一発目に読ませていただきました！笑 とってもキュンキュンしたし、ウォヌさんの表情とかが目に浮かぶようでした！！ 言葉とか、雰囲気とか全部好きです！！ (2021年1月1日 2時) (レス) id: 7c416b3b26 (このIDを非表示/違反報告)
りんね - ジェリーさん» コメントありがとうございます！「可愛い」は初めて言われたかも(〃艸〃) 皆さんの声をモチベに更新頑張ってみます！ (2020年12月30日 3時) (レス) id: 8a433fff5f (このIDを非表示/違反報告)
ジェリー(プロフ) - 可愛くて大好きでした！完結ありがとうございます！他の作品の更新も、ゆっくりで良いのでしてくださると嬉しいです！！ (2020年12月30日 1時) (レス) id: a4ccdce64b (このIDを非表示/違反報告)
りんね - KYANAさん» わ〜！！沢山褒めてくださってありがとうございます……！嬉しいです！！！他の作品も早く続きが書けるよう努力します！ (2020年12月30日 1時) (レス) id: 8a433fff5f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りんね | 作成日時：2020年11月29日 13時
