自己紹介 ページ12
「や、俺は通ってる大学が遠いから。この時間に乗らないと間に合わないだけ」
『あっ、そうだったんですね。一人暮らしとかは……』
「しようと思ったけど俺料理とかまじで壊滅的だから。もし俺のせいで住んでる所火事になっても責任取れないから、実家暮らしエンジョイ中」
『あっ、なんか【ヒモ】っぽいかも……』
「「ヒモ男」の「ヒモ」から取ってるからね」
『なるほど……』と呟いたところで、私の降りる駅が近付いて来ていることに気が付いた。
「聞いていい?」
『……はい。何をですか?』
「名前」
ぼけーっと向かいの窓を見つめていたヒモさんがふいに私の目を見る。その鋭い視線に射抜かれて肩が跳ねた。
『え?あっ……あ!はっ、はい!えっとAといいます!』
一瞬何を聞かれたのか分からなくて時間が止まったけど、すぐに正気に戻って騒がしすぎる返事を返した。
思わず慌ててしまったけど、他の乗客の迷惑になっていないかとさり気なく辺りを見回した。こちらを気にしている人が居る様子はなく、とりあえず一安心する。
……私が名乗ったってことは。
「Aちゃんね。Aちゃん、俺ヒモさんじゃなくてウォヌだから」
やっぱり名乗り返してくれた……!
スニョンさんのスの字もなかった……!
『はい!肝に銘じておきます……えっと、あの、素敵なお名前ですね……!!』
「それはありがとうございます」
しどろもどろに何故か名前を褒める私を、ウォ……ウォヌさんは「大丈夫かコイツ」といった顔で笑って言った。
その直後、電車が少し大胆に揺れて、私の降りる駅に到着したことが分かった。
私はウォヌさんにここで降りますと言おうとしたけど、私が立ち上がる前にウォヌさんの口が先に動いた。
「じゃあ学校頑張ってね。俺もだけど」
私は思わず首を傾げそうになった。
私の降りる駅を最初から知ってた……?
「そら毎週同じ電車に乗り合わせてるんだからなんとなく覚えるよ」
『……あれっ、もしかして声に出てましたか……?』
「いや?すごい怪訝そうな顔してたから」
『えっ、いや』
「いいから行ってらっしゃい」
半ば強引にそう言ったウォヌさんは、電車を降りる際に軽くお辞儀をした私に、ヒラヒラと、相変わらずの真顔で手を振ってくれた。
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りんね - なみさん» 新年一発目にありがとうございます!なんか照れます!笑 良いお年をお迎えください〜! (2021年1月1日 3時) (レス) id: 8a433fff5f (このIDを非表示/違反報告)
なみ - 新年一発目に読ませていただきました!笑 とってもキュンキュンしたし、ウォヌさんの表情とかが目に浮かぶようでした!! 言葉とか、雰囲気とか全部好きです!! (2021年1月1日 2時) (レス) id: 7c416b3b26 (このIDを非表示/違反報告)
りんね - ジェリーさん» コメントありがとうございます!「可愛い」は初めて言われたかも(〃艸〃) 皆さんの声をモチベに更新頑張ってみます! (2020年12月30日 3時) (レス) id: 8a433fff5f (このIDを非表示/違反報告)
ジェリー(プロフ) - 可愛くて大好きでした!完結ありがとうございます!他の作品の更新も、ゆっくりで良いのでしてくださると嬉しいです!! (2020年12月30日 1時) (レス) id: a4ccdce64b (このIDを非表示/違反報告)
りんね - KYANAさん» わ〜!!沢山褒めてくださってありがとうございます……!嬉しいです!!!他の作品も早く続きが書けるよう努力します! (2020年12月30日 1時) (レス) id: 8a433fff5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんね | 作成日時:2020年11月29日 13時