友達の居ない女子高生と大学生ウォヌさん

格好良いお兄さん ページ1

とある１０月の月曜日。



生理的に出てしまう欠伸を手で覆って隠す。



欠伸をした際に口から漏れた息は白くて、微かに冬が顔を覗かせていることを感じた。



そう感じると同時に身震いするような肌寒さを感じて、思わず『寒……』と呟いた。



電車が到着するまであと少し。

私は駅のホームに立っていた。



今の時刻は大体７時くらい。



この時間に駅のホームに居る女子高生は私だけ。



つい１ヶ月前までは私もこの次の次の次の電車に乗って学校に向かっていたんだけど、あまりにも通勤ラッシュの満員電車が耐えられなくて、以前より早起きをして、乗車の時間をズラしている。



チラリと周りを見てみると、通勤ラッシュの時間帯に比べてかなり人数は少ないものの、色んな人が私と同じように電車を待っている。



多くはスーツを着た会社員の人たちで、特に今日は週の初めだから、皆いつにも増して憂鬱そうな表情をしている。





『(お勤めご苦労様です……)』





こうして辺りを見回しているうちに、見付けた。



イヤホンを着けながら、手元のスマートフォンを見つめる男の人。



黒色のロングカーディガンのポケットに片手を入れて、若干猫背の状態でホームに立っている。



この男の人は、月曜日、水曜日、金曜日だけ、こうしてこの駅に姿を現す。



多分大学生だと思うんだけど、大学生がこんな朝早くに電車を待つだなんて珍しいと思って、思わずマジマジと見ていたら、その人が物凄く格好良いことに気が付いてしまった１ヶ月前。



サラサラの黒髪を目上で自然に流していて、目はキリッとしていて切れ長で、全体的に狐みたいな顔立ち。

背が高くてスタイルが良くて、肌が白くてとっても綺麗。




一目見た時から、私は勝手に意識してしまっていた。




月、水、金にこの駅を利用するということしか分からない、そのお兄さんのことを。

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