【wrwrd】彼こそ異端者なり【男主】 (ページ10)

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宣戦と来訪54 ページ10

しばらく県境での睨み合いが続いた後、突如北海道は埼玉県に宣戦布告した。

埼玉県だけに宣戦布告したようだが生憎、埼玉県は関西広域連合と同盟関係にあるためメンバーは宣戦布告された途端に世間に「埼玉県と我々は同盟関係にある」と公表して同様の理由で北海道に宣戦布告した。

俺は口うるさく援護にまわってくれと言われていたので公表も参戦もしておらず、物資や補給を担当していた。

一進一退の攻防が続いているらしく、最前線は押し込まれたり逆に押し込んだりと毎日変動している。長期戦になると北海道に勝てる気がしないが大丈夫だろうか。

『____君、福岡君！』

「...ん？何ですか？」

『聞いてなかったんか？リモート会議ボーッとしてたやろ』

「ごめんなさい。で、何か言いました？」

『北海道の動きが無いんや。厳密にいうと様子を伺ってるような動きしとるんや』

リモート会議中だった。俺に少しため息をついた大先生はそう会議の内容をまとめてくれる。ひとらんさんは今回前線にいるため参加してない。

俺は先程知ったのだが、知事が前線に立って指揮するのが主流らしい。なんでも統率力が取れて士気も段違いに上がるので重要な戦いなら知事も前で戦争に携わるとのことだ。
メンバーも南海州の被害で戦争を各地で行うハメになった時に前線に赴いたそうだ。早く聞いておけばよかった。

しかし今回北海道知事は前線で見たという情報もなく、兵も一気に攻める訳でもなく隙があればちょっと攻めてくるという行動をしているらしい。

『戦争大好きグルッペンがそんな焦ったい戦法取るんか？』

『いや、アイツやったら「初手空爆安定！」とか言って飛行機飛ばすやろ』

『でも飛行機どころか何も飛んでないんよな、おかしくない？』

『もしかしてやけど、グルッペンのやつ訳あって別のところに行っとるんか？』

『それなら、その中途半端な攻め方も分かるな、用事が終わるまで持ち堪える感じっぽいし』

一同、「何故そんな事を」「どこへ行ったのか」を考えていたが俺はなにか嫌な予感がして途中でリモート会議を離脱した。先程まで職員が物資や資料をこちらに運んだり県庁の外に運んだりと慌しかったのに気づけばシンとしている。

廊下に出てしばらく散策していると職員が一丸となって誰かを引き止めようとする異様な光景が広がる。
すぐに職員が振り払われ少し前進しまた止められ...というループを数回繰り返し俺の目の前までその人物はやってくる。