【wrwrd】彼こそ異端者なり【男主】 (ページ28)

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内戦の果てで異端者は言う72 ページ28

「...ちょっと外の空気吸ってきますね」

俺はそう言って部屋を抜け出しのろのろと屋上へ向かった。

外は晴れていた。俺は隅にあったベンチに腰掛け雲一つない空を目を細めながら見つめている。

日差しのせいか火傷の箇所が余計に痛む。俺は忌々しくその包帯を一瞥し呟く。

「...最後に県庁からみた景色は曇天でしたが今日は快晴ですね。あの時北海道も曇天だったんですか？」

最後は視線を後ろに移してそう聞いた。案の定そこには息を切らして階段を登り切ったらしい北海道知事がいた。

何か言いたそうだったが「あの日は晴れていた」と答えて俺の横にやってくる。

「快晴ではなかったけどな。...『こんないい天気の日に死ねたら良いですね』とか言って飛び降りるなよ」

「そこまで死にこだわってないですよ。まぁ、序章だと知ったので馬鹿馬鹿しくなって死なないだけですけど」

いつもの調子で笑って言うと突如グルさんが「お前はこれからどうするつもりだ？」と聞いてきた。正直決まっていない。福岡もなにも北海道にされてはお手上げだ。

「とりあえず怪我が治るまでここに居ようと思います。...そこからはまぁ、なるようになりますかね？」

「お前は表では死んだ事になってるぞ？あんなに世の反感を集めておいて生きてると知られたらめちゃくちゃ狙われそうだしな」

どうもわざわざ配慮してくれたらしい。そういえば最初に聞いたテレビの報道も俺の死亡を伝えていた。
となれば俺の身分は捨てなければならないだろう。どうしようかと思っているとグルさんは俺の横に座って提案した。

「トントンから聞いたようだがこの内戦は首相の依頼で戦争において優秀な人材を探すのが目的だった。何人か見つけたから首相にとっては満足する結果だろう」

「政権崩壊してますけど...？」

「満足した結果に違いない」

俺の疑問にそう強調してかき消した。ツッコむ暇もなく彼は俺をみて続ける。

「お前もその1人だ。あのイレギュラーな状況を理解してあんなに戦況を操る奴そうそういないぞ」

「異端者呼びした奴がそんな評価してるんですね」

「...それでだ。今俺は『対軍人国家』の軍部を編成しているんだがお前そこに入らないか？」

大真面目にそう言ってくる。『対軍人国家』？グルさんの言葉でそれはつまり『対外国』と変わらないのではないだろうか？

「ポジションによりますね」

一部引っ掛かるがそう返答した。戦場には出たくないが楽なものなら引き受けても良い。