【wrwrd】彼こそ異端者なり【男主】 (ページ12)

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宣戦と来訪56 ページ12

「何を言う、お前は世間から何と呼ばれてるのか知ってるか？」

____『異端者』だぞ？

その言葉が紡がれる前にもの凄い勢いで胸ぐらを掴まれる。普段の明るい雰囲気もなく、かと言って冷たく受け答えしていた先程とも違う異様な雰囲気。

俺は直感で『異端者として作られた内面』がコレであると理解した。明るく社交的な事に定評がある彼は戦争のことだけは金属のように冷たい視線で機械のように感情に流されない判断を下すような人物なのだろう。

「...異端者、と呼んだのはお前だろうが」

今まで聞いたことのない低い声で、彼は胸ぐらを掴んだまま睨んで俺にそう吐き捨てる。

「そうだったか。しかしお前否定はしてないだろ？」

何も言わない。まぁ関西広域連合と共にいたら自分の価値観の違いはすぐ理解できるだろう。

「会ったこともないやつにそんな名前をつけるな」

どうも彼は本気でキレているらしい。威圧感が凄まじい。俺が黙り込むと彼はふと思い出したかのようにいつもの雰囲気に戻る。しかし胸ぐらは掴まれたままだ。

「大阪のテーマパークと喫茶店で会ったあの日、俺は奈良さん...もとい、トントンさんに言ったんですよね」

そこで彼はにっこりと笑って俺を掴んでいた手を離した。咳き込む俺を無邪気な子供のように覗き込みながら、

「『もし戦争になれば俺はお前に銃口を向けるだろう』とね」

身構えたが何も変化はない。彼を見たが何も持っていない。戦争状態にないからなのか。

「...良く分かった。お前は参戦を拒否するんだな。最初から関西広域連合と手を組む事は決まってたんだろう？」

「えぇ、まぁ。貴方の予想は恐らく全部当たってると思いますよ？」

俺はため息をつき、帰ろうと踵を返し

「なっ_____ 」

知事室の扉はいつのまにか開いていた。職員が出口を塞いでいる。嫌な予感がして再度Aの方を向く。

...先程比喩の様に言ったにも関わらず、彼はいつもの変わらない笑みで

俺に銃口を突きつけていた。