【wrwrd】彼こそ異端者なり【男主】 (ページ11)

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宣戦と来訪55 ページ11

お互い顔を見てニヤリと笑う。俺ははっきりとその異様な来訪者の名前を口にした。

「初めましてグルッペンさん」

「あぁ、知事としては初めましてだな」

あろうことか彼は戦争中にここに来た。県庁まできた意図は分からないがとりあえず心配そうに見ている職員を帰す。俺は無言で踵を返して知事室まで帰っていくが北からの来訪者は当然着いてくる。

知事室に俺と北海道知事の2人になった事を確認して彼は口を開いた。

「今、北海道は埼玉県、関西広域連合と戦争状態にある」

「えぇ、知ってますよ」

「お前もこちら側で参戦しないか？」

「何でですか？」

「福岡県は前に南海州と戦争しただろう、南海州を併合した時点で停戦しているが関西広域連合に宣戦布告する理由があるじゃないか」

本気で言ってるのだろうか。いや、多分本気だがそれはここに来た理由ではなくて『ついで』の提案だろう。

「本題に入って下さい」

俺は冷たい声色でそう伝えた。一瞬沈黙したが突然彼は笑い出す。しばらく笑った後に俺を思い切り睨む。

「本気で提案してるのに嘘だと言いたいのか」

「嘘ではないと思いますが、それは県庁に来た理由ではないでしょう。別の話をしに来たのでは？」

「成る程、それもそうだな。では参戦要求の答えを聞く前にそちらから聞くとしようか」

彼は真顔になった。無表情で俺を見て口を開く。

「何故お前は最初に会ったときに関西広域連合メンバーのオスマン、トントンと共にいた？そこで知事と言わなかった理由は他にもあるだろう？」

きた。遂に核心についてきた。俺はそう思いながらも「理由と言ってもゲームで知り合っただけであの2人が知事だと言うのは北海道知事さんの話で知ったんですけど」と嘘を貫く事にする。

「絶対嘘だ、トントンとオスマンがやるゲームのジャンルは両極端だぞ」

「最初トントンさんと知り合って別のゲーム勧められたときに同時にオスマンさんを紹介されたんですけど」

「トントンが？アイツがそんなホイホイ人に友人紹介せんぞ」

「俺に聞かれても本当の事なのでそこについてはトントンさん本人に聞けばいいじゃないですか」

不毛な喧嘩を繰り広げたところで「じゃあ関西広域連合との関わりがないなら参戦したらどうだ」と別問題に絡めて聞いてきた。

「ゲーム仲間をゲーム感覚で戦争で倒すんですか？」

「俺が今やってる事だな」

「そんな非人道的な事出来ないですよ」