ハナミズキ3 (ページ21)

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3学期の最後の日

修了式が終わり、春休みを迎える

離任式では、有希ちゃんの退職も告げられた

3月いっぱいはまだ籍があるから、それまではあたしも図書室通いするつもり

有「A、これからは学校の外でまた会おうね。この街からは出ないからね」

6月の有希ちゃんの結婚披露宴も、楽しみにしてるよ

3年生になる前の春休み中には進路相談がある

まずは、生徒と担任の2人だけでの進路相談で、担任としての横山先生と話ができるのは、これが最後になっちゃうんです

指定された日にちと時間に、図書室へ向かった

横山先生はすでに待っていて下さってて

横「お、A。ここ座り」

やんわりとした笑顔で座席をすすめてくれた

図書室だから、有希ちゃんもいてくれて

A「え………有希ちゃんにも聞かれちゃうの？」(笑)

冗談ぽくそう言ったら

有「うん、特別にね♪」

嬉しそうに有希ちゃんが答えてくれた

横「A」

名前を呼ばれて横山先生の方を見ると、さっきまでの笑顔はもう消えていて

え、なんか厳しいこと言われるのかなって

村上先生のことでたくさん迷惑かけたことをまず言われるのかなって思って緊張してたら

横「今日はな、特別やねん」

A「…………」

………有希ちゃんが同席してること、ではないみたい…

横「今日だけは、特別に図書室やねん。他の日は、2年の教室でやってる」

A「………え」

どういうこと？

図書室を使うってことは………他の誰かに聞かれたくない内容の話があるということ？

そういう解釈でいいのかな……

そう思ったら、さっきとは違う緊張感をおぼえる

横「ま、座り。進路のことは後回しや。先にゆうとかなあかんことがあんねん」

有「A…………大丈夫だから」

A「…………」

大丈夫って………何が？

有希ちゃんは、その内容を知ってる？

あたしにとって、いい内容の話なの？

徐々に大きくなっていく心臓の音を無視できないまま、横山先生がすすめる座席に座った

横「有希先生がおってくれた方が安心するやろ、思て同席お願いしてん」

有希ちゃんは、何も言わずただうなずいてくれる

ひとつ、大きく息を吸って

横山先生の言葉を待った

横「…………ヒナから、伝言預かってんねん。………聞けるか？」

横山先生の口から久しぶりに聞く、村上先生の呼び名

ひときわ大きくなる胸の音を携えて

あたしは

横山先生の目を見てうなずいた