×××20 小さなタネが実を結ぶ ページ20
息苦しくなったのか、口から息を
プハッて吐き出した…
『パボーー。』
そっと 摘んでいた鼻を離すけど 一向に起きないA…
マジ、起きねぇーし…
…………
ってか 化粧とか？落としてねぇーけどいいのか？
まじまじと Aの顔を見ると 濃くわないけどナチュラルメイク？はしてるわけだし。
Aの睫毛… こんなに長かったっけ…
マスカラもしてないのに長くて…
目を閉じているから綺麗に下向いてて…綺麗…
たぶん もーこれ 完璧に夢の中。
しゃーねーな。 なんてもう俺もあきらめモード。
夢みてんのか？あーいい夢なんだろうな…
「…ジ…ヨン…ちゃ……」
寝てるはずのAに名前を呼ばれ
一瞬ドキっとした…
なーんだ…寝言か。て冷静に返したものの…
Aが俺の夢をみている とわかると
自分の顔が熱いような、なんか 擽ったくて恥ずかしい…そんな感覚が俺を包んだ。
_＿＿ ＿＿ _
リビングに戻ると
出しっぱなしの容器や食材が散乱していた。どうしたらこんなふうになるんだ？
テーブルに置いてあった一冊のノート。
表紙には『おいしいタネ。』と書かれてある。
中を捲ってみるとたくさんのレシピが手書きで書き綴ってあった。
店、オープンするのって確か来月？
掛けてあったカレンダーをみると9月26日に【祝！二号店オープン‼】て記載してある。
そーいや日付言われたよな…嬉しそうに話してたのに俺、覚えてない…
今日もほんとは疲れてたんじゃ…
Aは昔から 弱音とか吐かねーし努力とか人一倍してるくせにそれを感じさせたりしない。
＿＿ ＿
カレンダーを8月に戻す。
8月18日にはキラキラのピンクのペンでハートマークがついていた。
「ジヨンちゃん 誕生日なにしてるん？」
俺、『仕事』て答えたっけ。
＿＿ ＿
明日は 店は休みだったはず
Aを起こさないように寝ている事をもう一度確認する。
『おやすみ』
鍵を閉めて 足早に駐車場に向かい車に乗り込んだ。
エンジンをかけ自宅とは逆の方向に車を走らせた。
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作者名：林檎 | 作成日時：2016年8月7日 1時
