【甘】愛され注意報【野坂悠馬】 (ページ47)

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時が過ぎ、辺りはもう真っ暗になっていた。

満天な星空が見守る中、Aは疲れのあまりに地面に座りこんだ。

A「っ…はぁ…」

汗のせいで髪の毛が頬にへばりつく。

吹雪「お疲れ様」

未だ呼吸が整わないAにドリンクを差し出す吹雪。

A「あ、ありがとうございます…！」

Aはありがたくそれを受け取り、喉をならして飲む。

吹雪もAの隣に腰を下ろして、ドリンクの蓋を開け、一口飲んでからAに顔を向けた。

吹雪「ごめんね…疲れるまで付き合わせちゃって」

そう言って申し訳なさそうに眉を下げる吹雪。

それを見かねたAは首を左右にぶんぶんと振る。

A「そんな…！私の方こそ…！遅れてくるし、タオルやドリンクまで用意してくださって…すみません…それに！」

「その、あの…」と中々続きを言い出せず視線を泳がすAを不思議そうに見つめている吹雪。

A「吹雪さんと練習するのすごく楽しかったですし…一緒に練習出来て嬉しかったです…」

勇気を振り絞りぎゅっと目瞑ってなんとか言葉にするA。

一瞬目を見開いた吹雪だが、すぐにふっと目を細めて微笑んだ。

A「…？」

突然やんわりと笑いをこぼす吹雪に、頬を徐々に染めあげていくA。

A「へ…あ、あの！その…」

吹雪「…僕もだよ」

A「え…？」

吹雪「僕も…同じ事思ってた」

A「…っ//」

見事なシンクロに二人は照れながらも顔を見合わせて笑う。

吹雪「そろそろ戻ろうか。お腹空いたしね」

A「はい！あ、そのタオル洗濯しときますよ」

吹雪「いいの？」

A「勿論です！」

吹雪「それじゃあお願いしようかな」

そう言って自身のタオルを持っていた吹雪は軽く折り立たんでAに手渡した。

宿舎へと肩を並べて歩く二人を綺麗に輝きを放つ月が照らしていた。