君から見た僕 ページ44
野坂の暴走が終わりを向かえたのは午後6時を回っていた。
気持ちいいと認めるまで何度も攻められたが最終的にAが折れた。
未だベッドの上で無言で向かい合う二人。
野坂「A」
A「なによ」
野坂「分かってるよね?」
A「命令でしょ」
もちろん。と満足気に口角を上げるがただならぬオーラが野坂を包んでいる。
A「で?何しろと?」
野坂「さっき僕がしたこと全部」
A「絶対に嫌!あんな恥ずかしい事出来るわけないでしょ!」
野坂「僕だってやりたくてやった訳じゃないんだ。それに…バレてもいいのかな?」
A(ほんっとずるい…)
心の中で文句をいい続けながら野坂を睨みつける。
野坂「とにかく、拒否権は無いから」
A「………」
言い返すこともできないAは不満気に黙って頷いた。
野坂にちらっと目をやれば、表情を暗くしており、Aをじっと見据えていた。
野坂「……ら、……の?」
A「?」
野坂「吹雪さんになら…できるの?」
A「…!」
突然好きな人の名前を出され、反射的に顔をあげるA。
A「そういうわけじゃ……っ!」
A(あ、そう言えば私…)
野坂「どうしたの?」
急にベッドから降り、何かを思い出したかのようなAを見て呆然とする野坂をおいて、Aは急いで部屋を飛び出していった。
主の居ない部屋に一人残された野坂。
野坂(僕、余計なこと言っちゃったかな…)
目を瞑り、上を見上げる姿はどこか儚さを感じる。
野坂「やっぱりAからしたら僕は、ただの幼馴染みなのかな」
いつもAに見せている余裕ぶった顔は何処へ。
野坂は情けなく眉を下げて誰もいない部屋でぽつりと呟いた。
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作者名:きなこ x他1人 | 作成日時:2019年2月10日 0時