二兎追うものは一兎も得ず【 灰谷兄弟 】

〃 ページ4

　
　
　
「 ……、竜胆みてぇなダサ眼鏡してると思ったら


　素顔、結構可愛いじゃん 」




「 全然違ぇし。その人のは四角型、俺は丸型 」




ぽつりぽつりと彼らが私の近くで話している




恐る恐る目を開けると視界が何故かボヤけており




思わず身体がよろけてしまう。




「 へっ、ボヤけ、て……ッ 」




「 あっぶな。……"お姉さん"もしかして


　眼鏡無ぇと生きていけない感じ？ 」




身体を支えられて何かを揺らしている三つ編みの青年。




「 眼鏡…？…ぁ"、か、返してッ…！！ 」




「 やーなこった。竜胆〜〜パス 」




「 ん 」




三つ編みの青年は丸眼鏡の青年に眼鏡を投げ飛ばし、私を使って遊び始める




「 ねぇ、お姉さん。


　俺らの事、見逃してくんね？ 」




「 は、急に何を。いや、その前に眼鏡 」




「 見逃してくれたら眼鏡返す 」




「 ひ、卑怯ッ！！ 」




何度もパスし合う彼らに疲れ切った私




膝に手を当て、呼吸を整えていると顎に手を添えられ、無理矢理顔を上げさせられる




「 お姉さんオモシレぇな〜〜めっちゃ可愛いし


　何より気に入った♡ 」




ボヤけて三つ編みの青年の表情が読み取れないが笑ってるに違いない



ふと彼の吐息が頬にかかり



ふに、とした感触が伝わった。




「 …………へ？ 」



「 やば、兄ちゃん。パトカー 」



「 んだよ、良い時にさぁ 」




知らぬ間に遠くからパトカーの音が鳴り響く




誰かが通報したのだろうか




私の顎から手を離し、無理矢理メガネをかけられる




「 んじゃなぁ〜〜お姉さん♡ 」



「 そのまんまだと
　
　"ホンモノの警察官"に怒鳴られちまうぜ 」



目の前には金髪を靡かせた三つ編みと丸眼鏡の青年が2人




真夜中の広場にて、逃げる姿はまるで



"二兎追うものは一兎も得ず"



そのことわざが似合っていた




「 ………、い、いや、いやいやいや！？


　ホンモノの警察官って、私もホンモノの


　"女警察官"だからぁー！！？ 」



彼を遅れて追い掛けるも体力が残っておらず




私の声だけが彼らに追い付いていた。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

序章長くなり申し訳御座いません…！
次の次の話から一話目です

口調間違ってないか心配…あと内容も(汗)

　

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