二兎追うものは一兎も得ず【 灰谷兄弟 】

十二話 ページ17

　
　
　
「 き、君達待ちなさいッ！！ 」




恐れる感情を無理矢理に抑え、警察官の胸倉を掴む彼らに一喝




案の定、彼らは此方を向きガン飛ばししてきた




「 あ"？ 誰だテメェ 」




「 おいモッチー、コイツが応援のサツかぁ？ 」




「 オンナじゃねぇかッ"！！ 」




ギャハハッと私の登場に大笑いする彼ら




但し、1人を除いて。




「 お、女であろうと私は警察官です…ッ！！


　……警官の止めにも逆らい、しまいには


　瀕死状態にまで暴力を振るった！


　君達は"公務執行妨害"で逮捕確実です…！！ 」




威勢良く彼らに告げると、1人が足を動かした。




身長が私より遥かに大きく、今まで掲げたことの無い程の身長の高さであった




頭部のみに髪がある特徴的な髪型




思わず喉が鳴ってしまう。




「 …… 」




「 ……ッあの、分かってますか？

　
　君達は非常に残酷な事をしてるんです 」




無言で私を見下す彼に私は冷や汗が止まらない




「 だから……ッ 」




「 ………。


　───ピーピーピーピーッうっせえなぁ"！！ 」







一瞬視界が白くなった




顔面にかかる熱が強くなり、痛みを発する




「 ぁ"ッ……！？！？ 」




なぐ、られた……？




床に尻餅をついている、地面の感触がある




「( ………ッ、痛い痛い、痛い…ッ！！？ )」




ボタボタッと垂れる血は鼻からも口からも切れて流れ込んでくる




「 サツが生意気な言葉使うなよ。


　それが、オンナであろうともだぁ"！！ 」




睨みかかる彼の視線は痛く鋭いものであった




「 テメェらぁ！！コイツらの片付けは


　その辺に棄てておけ！！

　
　オンナはテメェらにくれてやる！ 」




彼の罵声に肩を揺らす




ふと周りに居る数十人の不良がやたらと不気味に笑い出した




このままじゃ、木下さんも他の警察官も全員しんでしまう




痛む頬に手を当てながら、ゆっくりと立ち上がる




また殴られたってもう知らないッ




罪は、そのままにしておけない……ッ！！




「 ……………ッ、ピーピーピーピーッ

　
　うるさいのは、そっちの方、ッでしょうが！ 」




掠れた声で私は彼らに一喝した。

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