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川崎side
「...立花さん。顔、上げて?」
俺がそう言うと、今にも泣きそうな表情をした立花が俺を見上げる。
そんな表情も可愛いな。なんて馬鹿みたいなことを考えながら、俺はゆっくりと口を開いた。
「立花さん。ありがとう。」
その言葉に彼女は首をかしげる。
なんで、俺がお礼を言っているのか分からないみたいだ。
「だって、立花さん、俺のためにどう断ろう。とかきっと一生懸命考えてくれたんでしょ?」
そう言うと彼女は目を見開き、慌て始める。
...図星か。
本当に分かりやすいなぁ。
そんな彼女の様子を見て思わずクスッと笑いながら、俺は言葉を重ねる。
「俺、前にも言ったけれどさ、絶対片山とか七鬼とかそんな奴らに勝てるわけがない。って思っていたんだ。でも、それでも君のこと、諦められなくて、せめて、告白だけでもしよう。って思って告白したんだ。フラれるって思っていたけどね。それなのに、なんだか告るだけじゃ物足りなくて、あの時、既に立花さんは俺のこと断ろうとしていたのに、無理やり俺のこと知ってからにして!とか言って、1週間一緒に帰ってもらって...。本当に図々しいと思う。」
そう言うと立花さんはブンブンと勢いよく首を振った。
「そんなこと、ないよ。私、本当に楽しかったんだもの。この1週間。」
そう言って見上げてくる彼女の目はとても澄んでいて、本気でそう思っていてくれることを俺に伝えてくれる。
「...うん。ありがとう。...あのさ、まだこんな事言うのもあれだけど、俺、やっぱり立花さんのことが好きだよ。」
微笑みながら伝えると立花さんはボンッと音が聞こえるんじゃないか?と思うくらい一気に赤くなり、ぽかんとした表情を浮かべる。
「もちろん、立花さんが今付き合うつもりがないのも、俺のこと、恋愛としては好きではないことも、ちゃんと分かっている。でも、俺、立花さんと一緒にいたい。もっと話をしたい。このまま、気まずくなってお終い。って言うのは嫌なんだ。...本当に図々しいと思っている。でも、それでもいいから、せめて友達として一緒にいさせてもらえないかな?」
その言葉に立花さんは俯き、しばらく沈黙が続く。
...流石にダメかな。
そう諦めていると、スンっと鼻を啜る音が聞こえた。
えっ?立花さん、泣いてる...?
ギョッとしていると、立花さんがゆっくりと顔を上げた。
その瞳には大きな涙が浮かんでいた。
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セダム - Kokone♪さん» はい、勿論です!私もいつか書いてみたいと思ってたんです(*´∀`*)ありがとうございます! (2018年10月7日 16時) (レス) id: 0373634970 (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪ - もしも3を書くんでしたら、悠飛と砂原に出会いも書いてくれますでしょうか? (2018年10月6日 11時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
セダム - 彩葉さん» いえ、次は、一旦他のものを書こうと考えています!最後まで読んで下さりありがとうございました!! (2018年10月3日 18時) (レス) id: 0373634970 (このIDを非表示/違反報告)
彩葉 - 〜3〜も書かれるのですか?書かれるのならば、凄く楽しみです! (2018年10月2日 22時) (レス) id: 808e94c518 (このIDを非表示/違反報告)
セダム - 彩葉さん» ありがとうございます!頑張ります(*^^*) (2018年9月30日 19時) (レス) id: 0373634970 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2018年9月14日 21時