帝都活劇 泡沫モダニズム【オリジナル】

＊ ページ10

「まぁそれとなく！」

はい、僕は転生しました。
米騒動とか懐かしい〜主婦の力侮る勿れ。あの「超然内閣」と呼ばれた寺内内閣を辞職に追い込むとは！然し新聞の紙面が削られたのを見た時は驚いたなあ！

「じゃあ大正時代について知りたいんだ」

「はい」

「じゃあ僕が分かりやすいの選んであげるよ」

「良いんですか？ありがとうございます」

全く子供扱いして。分かりやすいのって、どうせ小学生でも分かるやつを持ってくるつもりなんだ。
まぁ簡単に知れればいいや。ちょっと先の未来も知れたら嬉しい。

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図書館に無事到着した。
まぁなんと広い。これなら幾らでも歴史書が見つかるなぁ！
詰襟の彼に着いていく。

「歴史はこの辺……大正……あー、これとかどう？あ、こっちの方が分かりやすいか？」

どっちでも結構。
此の時代の言語違ってたりとかしなければ良いけれど。

「これどう？」

そう言って渡されたのは「一冊で分かる！日本の歴史シリーズ 〜大正デモクラシー〜大正・昭和初期」と書かれた本だ。表紙絵までご丁寧に書かれている。

「面白そうだね、読んでみます」


そう言って僕は近くの席に腰を下ろした。
詰襟の彼もまた隣の椅子に腰を掛けた。

其処にはあらゆる事が書かれていた。
先程彼が言っていた事然り、その他大正時代全般について書かれている。何ならつい最近あった事もだ。
間違いない。転生したのだ。

懐かしさに耽りながら読んでいると、ふと隣の彼が声を掛けてきた。

「歴史好きなの？」

「んーそれなりに」

いや、そんな好きではない。
一番好きなのは法制及び経済。
だからその先生にもなったし。

「俺はね、英語と美術が好き」

「へぇ〜」

げっ、どっちも苦手。
図画なんて先生に何度怒られた事か……

「そういや、君こそ何をしてるの？迷子かそうじゃないか分からないって」

「あー……暇？行く宛がない？んー……何かな」

「暇ならさ、俺とどっか行かない？」

「いいんですか？」

「いいよ、俺も暇だし、さっき友達とカラオケ行こうって約束されたのにドタキャンされちゃって」

よく分からないが、僕も本当にやる事がない、何をすればよいのか分からないので何処か連れていって貰う事にした。変な処に連れていかれたら諦めて餌にでもなるか。

僕は本を棚にしまい、二人で図書館を出た。

「どっか行きたいとこある？」

「特には……」

何があるかもわかっていません。
でも少し喉が乾いたな。

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