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第九節 正義と微笑 ページ11

彼女は愉快だった。
そう思わないと、いけないのかも知れない。


「此れで如何でしょうか」
Aは手札を机に投げつける。

「無理無理!私これ以上出来ない!」
現に、寧々には勝ち目は殆ど無いと言っても過言では無く、絶望的状況というのが相応しい。
無論、此の儘では負けるのは必至である。

「そうですね。では此れで終わりですかね。」
淡々と告げる非情な口元は緩みを見せる。
目元だけは変わらずだ。

「れいば〜ん、ヤシロに勝たせる気微塵にもないよネ?」

「はい、毛頭も」
今度は清々しい程の笑顔である。

「最初っからなんかしてたんじゃない?どーなの?」

「人聞きの悪い」

そしてAが圧勝した。
札を丁寧に片付ける。
一方の寧々は花子に必死で謝っている。

「花子くん、本当にごめんなさい!トイレ掃除ちゃんとしますので許して下さい!!」

「へーきへーき、ヤシロのドジはいつもだから」

「うっ!」

「先輩に謝れ花子!失礼だぞ!」

少し離れた所から微笑みを浮かべその様子を見るAは天使さながらだが、約束を忘れてはならない。

「皆様、お忘れ無きよう。依代を取りに来たのでしょう?」

「そうだよ零番、誰かさんの所為で戦うハメになったケド」

「ごめんなさい……」

「いいですよ。あ、その前にこのお花聖堂に置いてきていいですか」

Aは近くに生けてあった花をもってきた。

「いいヨ」

全員で先程の大聖堂へと向かった。
______

Aは説教台に花を花瓶に差して置いた。
ステンドグラスから差し込む光が花を映えさせる。

「お前、随分余裕そうだな」

光が逆に心配になって聞いた。

「私には神のご加護がありますので」

「あーはいはい」

「じゃあ、しょうがない、やるしかないネ。二人とも下がって」
呆れ半分で花子が懐から包丁を出す。

「私は何も要らないです。余り傷つける真似はしたくないです」

「それで勝てるわけ?」

「貴方が疲れるまで逃げきれればいいんですから」

「裏を返せば零番の力が尽きるまで俺が追いかければいいってことだよね」

花子がAの喉元に包丁を掠める。
Aは軽々と後ろに下がる。

「……それ位なら別に本気出す必要もなさそうですね」

「あの野郎!一々うぜえぞ!」

「源君落ち着いて!」
宥める寧々も正直花子一人で戦えるか不安ではあった。
だが今は彼を信じるしかない。
花子は包丁をAに向けて振るも全て避けられてしまう。何方の体力が先に尽きるかの勝負である。

第十節 栄光に焦がれて→←第八節 道化の華



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設定タグ:地縛少年花子くん , 零番   
作品ジャンル:アニメ
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アリてる.冷花(プロフ) - 迷い猫さん» コメントありがとうございます。嬉しいです!近頃トプ画を変える予定です。 (2021年9月29日 11時) (レス) id: 39e2327944 (このIDを非表示/違反報告)
迷い猫 - 絵うま!!絵うま!!絵うま!!絵う(((殴ハイスミマセン…… (2021年9月26日 17時) (レス) id: 639c61a784 (このIDを非表示/違反報告)
からす - 更新してない!(;° ロ°) (2021年8月30日 18時) (レス) id: b1895113ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アリてる.冷花 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/wuashyt8942  
作成日時:2020年8月21日 23時

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