【wt】占い師始めます。 (ページ6)

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第5話ページ6

馬車に揺られて数時間。
大きな門を過ぎてから馬車から下ろされ、久々に外に出て吸った空気は戦争中じゃ考えられないほどに澄んでいた。ここは東(イースト)の主要基地だろうか。まるで城のように大きな建物で、チラホラと軍服を着た兵士たちが会話しながら敷地内を歩いている。

そしてその人たちは完全にこの場にそぐわないボロボロの服と、顔にかかる布を付けた私を見てて、ギロリと睨みつけてくる。それもそうだろう。自分で言うのもアレだが、不審すぎる。ダラダラと冷や汗がたれる。きりやんさんは｢ちょっとここでまってて｣なんて言ってどこかに行ってしまうものだから、待ってる他ないにしても、なかなかな仕打ちだ。

｢あ～～…えっと、そこの君ちょっといい？｣

｢っうわぁ？！｣

突然後ろから声を掛けられて思わず背筋が凍る。人間の気配なんて毛頭なかったのに。振り返るとそこに居たのは黒の短髪で青いジャージをまとった、いかにも好青年だった。
好青年は開きっぱなしになっていた基地の門を門番に閉めてくれと耳打ちし、門は古い鉄の錆びた大きな音を立てながら閉まった。

｢はは、驚かせちゃったね。ごめん。俺はきんとき。｣

｢あ、えっと、A……です｣

きんときさんは知ってる知ってる、と笑いながら近づいてくる。私は知らないんですが！とも言えず、曖昧に笑ってしまった。きんときさんは目の前に来ると、ぐいっと顔を近づけて布をめくったあと、布に隠れていた私の目と目をバチりと合わせてにっこりと笑う。

｢綺麗な色の眼を持ってるのに、勿体ないなぁ～」

いきなり過ぎて声も出ない私をみて楽しそうにふふっと笑う。左目の下の泣きボクロがどうも魅力的で息を飲む。

じゃあ行こうかときんときさんの後を着いていくしかなかった。

きんときさんとの会話は特にそれ以外何も無く、ただスタスタと前を歩いていく。不思議なことに通りすがる兵士たちはきんときさんを目にした途端、ビリビリと張り詰めるような雰囲気に変わりお疲れ様です！！と敬礼をする。きんときさんはお疲れ様と返すがその目は笑っていない。

居心地が悪すぎて下を向きながらついて行くと大きな扉の前でその足が止まった。

｢さ、ここだよ。Aちゃん、ようこそ東(イースト)へ！｣

開けられた扉の先には大きな長机と、それに腰かける5人がいた。