第1話 ページ2
右手が焼けるように痛い。
痛みのあまり勢いよく目を開いたために暗闇とは打って変わって多くの光が瞳に入ってき視界がチカチカと点滅してる。
暫くして視界が戻ったあと瞳だけを動かして周囲を観察する。白い天井に、白いカーテン。少し、消毒液のような匂いもする。この状況から私のこの世から居なくなるという目的は遂行できなかったようだ。
ましてや私はふかふかベッドに寝かせられている。
身体にかかっている布団を退けようと腕を動かすが、体は言う事を聞かない。動かすのはもってのほか、動かそうと意識するだけで、体に電流が走るような感覚に襲われた。
「いッ……！？」
痛みの反射的に声を出してしまい、視界が滲む。
「あ、起きた？」
すぐ側から呑気な声が掛かる。
そして、間もないうちにシャッとカーテンを開けられた。
カーテンの向こうにいた男性は、明るい金髪に白衣を着てカルテを持っている。医者……だろうか。
だが明らかに彼の雰囲気はここにはそぐわないような気もする。
言ってしまえば胡散臭い。
初対面にも関わらず、彼はまじまじと私の顔を見る。あまりにも急すぎて、私は何も出来ずに見つめ返す。
「！！君、目が赤いんだね。綺麗な色してるね。」
はっ、と私は彼から目を背ける。
「……すみません。」
この眼は、人に見せてはいけない。
「あ〜〜〜〜〜まぁ、人には隠したいことだって、知られたくないことだって有るよね。僕もあるし。」
彼は淡々と話す。
「……あ、ありがとう、ございます。」
その彼の言葉が、今の私の心に酷く染みた。
こんな風に、人と話したのは何時ぶりだろうか。
「うーん、ねぇ、目隠したいならこれあげようか？？」
「あっ、……えっと、頂きたい、です。」
ん、と小さな返事をしたあと、何も書いていない白い布を投げて渡した。雑面というやつであり付けてみようとしてももちろん左手だけでは結べない。
もたもたしていたら、彼は苦笑いし手を貸してくれた。
こんな時間も束の間、彼の後ろから乱暴にドアを開ける音が聞こえる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬良． | 作成日時：2024年2月6日 18時
