【WT】少女【kn】 (ページ6)

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友人の絵を見に行ったのは、展覧会の初日である日曜日だった。友人は良かったら一緒に行こうと言ってくれたけれど、ご両親も同席するらしいので遠慮した。

それに、一人で絵をゆっくり見るのも悪くないと思ったのだ。自分がモデルになった絵を見るのはなんだか気恥ずかしかったけれど、あの美術室の中に並んでいた友人の同級生たちが描いた絵を、きちんとした額縁の中で見てみたかった。

会場は思ったよりも混雑していた。自分の子供の作品を見に来たらしい夫婦や、紳士然とした初老の男性の中に同年代の若者の姿を見つけることは困難ではなかったけれど、どうも気後れしてしまう。

ロビーに着くと、携帯にメッセージが届いていることに気が付いた。中に入る前に返信をしてしまおうと目についたソファに腰を下ろす。

「温かいのあった？」

隣に座る、顔を覆って俯いていた男性がそう言ったと気が付くのに、少しだけ時間がかかった。不思議に思って周囲を見回すも、彼の話しかける相手は他にいない。

もしかしたら誰かと間違えているのだろうか。俯いてしまっているし。無視をするのも気が引けて「･･････はい？」と返した私に、しかし彼は人違いをしているという認識を持ってはくれなかった。

甘いものが欲しいと言われたので、ミルク味の飴を差し出した。そこでようやく彼は顔をあげて私を見てくれたけれど、あまりにもきれいな顔立ちをした人だったので、本当に驚いたのは私の方だったのかもしれない。