【ﾜｰﾄﾘ】好きだ (ページ7)

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7話ページ7

やっぱり、あの時の言動は風間さんなりの慰めのつもりだったのだろうか。
長い間彼の背中を見続けてようやく彼の人との接し方が分かってきた気がする。

◇

そんなことを思い出して現在。
「送っていく」と言われてから、駄々をこねても状況は変わらなかった。
風間さんは相変わらず頭に「？」を浮かべるような表情でこちらを待っている。

「風間さんがおかしい」
「何がだ」
……どうせそう返してくるからなと、Aは諦めたように風間の後ろを着いていった。

二人で基地を出る。
夜の肌寒さが刺さるようだった。

「……風間さん」
「何だ」

「私、別に無茶して遠征班に組んでもらってるわけじゃないですからね」

Aは夜空に向けて息を吐く。
「今日の風間さん、いつも以上に優しくて、あの、それは嬉しかったけど……。ちゃんと帰ったら寝るし、ご飯も食べるし。
だからもし心配してくれているなら大丈夫ですよ」

パーカーに手を突っ込んで歩いていた風間の足がピタリと止まる。「そうかそれなら」ときびすを返すのかと思われたが、見ると眉間に皺を寄せてうんざりした顔をしていた。

「えっ？何で？」
思わず歩みを止めて顔色を伺う。

「お前……本当に……、いや、まあいい」

「すっっっごく良くなさそうな顔！！」
風間の不機嫌の理由が分からず、たまらず叫ぶしかなかった。思いがけない声量に、風間は不意を突かれたように失笑した。

あ、笑った。

ホッとするのも束の間、風間はその手をこちらへ伸ばして、くしゃりと髪を撫でてくる。
「悪かった。かえって心配かけたな」

一度二度触れて、すぐに離れた手の熱を感じたとき、もうダメだとAは心中白旗をあげた。

この人と居ると胸を焼かれる。