【ハイキュー】私のことが嫌いな君へforth＿＿西谷夕＿＿

君98 ページ8

英って呼んで。













そう言われ、その名を呼べば彼は耳まで赤く染めて俯いた。








そんな彼が、何だか可愛くて。

彼も、年頃の男の子な訳で。









私の方が歳上な筈なのに、彼の方がうんと大人びて見えて。









それが少し、悔しくて。















｢英｣






意地悪く、彼の名を呼んだ。









すると彼は肩を少しびくつかせて


｢……なんスか｣








真っ赤な顔で睨み返してくる。








無気力な彼の瞳の奥からは、熱く燃え上がる“何か”が見え隠れしていた。







……彼は、これ程“男の眼”をしていただろうか。









熱を灯す瞳から逃げられなくなる。









まるで、蛇に睨まれたカエル。








……そういえば、英はこんなにも顔が整っていたのか。





今までじっくり見たことがなかったが、改めてこう見ると…なんというか、こう。







｢あ、のさ……そんな見ないでもらえますかね｣






｢え、あ、ごめん｣






英の顔が綺麗で見とれてた。








その言葉をぐっと飲み込んで









｢……そろそろ、戻ろうか｣






｢え、もう……?｣




｢え、?｣





｢あ、いや…何でもないです。



行きましょ｣




赤くなった顔を隠すように手の甲を口に当てて眉間にシワを寄せる彼に思わず笑がこぼれた。







何だ、ちゃんと可愛いところあるじゃん。

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