窘雨 ページ8
緑side
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部屋の隅、ストーブの前で
身体を丸め目を瞑る
このまま死んでしまえたら
それはそれで幸せだろう
だが、現実はそう甘くない
遠くで電話が鳴っている
重たい身体を動かし
そこまで行くと
運の悪いことに音が切れた
視覚が機能しない俺は
その着信が誰からのものなのかを
知る術がない
小さく息を吐き出し
部屋のストーブを消しに戻る
窓を開ければ
湿った空気が頬を撫でた
外は一体どんな空模様なのだろうか
光は見えないから
きっと晴れてはいないのだろうけど
一日寝転がって過ごした俺に
時間の感覚は残っておらず
今が昼なのか夜なのかも分からない
如何に人間が視覚に頼って生きているかを知る
皮肉なものだ
人間は、大切な物を
失って初めて気づく
それじゃ、もう遅いのに
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青「ただいまー、」
扉の開く音と共に
兄の声が聞こえる
上体を起こし玄関へ向かうと
温かい手が頭に乗せられた
青「ただいま、テツ」
緑「おかえり」
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たまに、こんな事を思う
兄が冷たく突き放してくれたら
なんの迷いも無く死ねるのではないか、と
兄のせいにするのは如何なものかと思うが
彼の優しさのせいで、俺は死ねずにいる
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ゆ(プロフ) - phase1から大好きな作品です、好きすぎて永遠に終わらないでほしいくらいです(T_T)展開がいつも読めないので、新しい話を読むたびにドキドキしています。これからも更新を楽しみにしております！ (2021年1月26日 21時) (
レス) id: c2197c2c66 (このIDを非表示/違反報告)
りっつ(プロフ) - 肋骨裂いて開いて心臓おさまえないとおれないくらいきゅーきゅー鳴っています大好きな世界観 (2021年1月23日 12時) (レス) id: dfb5502df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：檸檬 | 作成日時：2021年1月6日 11時
