第二話：東京という都 ページ4
汽車に揺られ、小一時間ほどの時間を掛けて、東京駅に着いた。
駅から出て、すぐ、目に入ってきた、今まで見たこともない景色に、
自分は驚嘆の息を吐いた。
「うわぁ……！ 凄い、夜なのに昼間みたいだ……！」
東京の街は、それは見事に美しかった。
もう夜だというのに、辺りは街灯によって明るく照らされ、沢山の人が歩いている。
建物はとても高く、西洋風の建築物が、多く建ち並んでいた。
だが、まさか、此処まで、街が発展しているとは思ってもいなかった。
「出版社……白鳥文芸社……場所は、何処かな……」
都会の夜の煌びやかさと人の多さに、目が回りそうになりながら、何とか出版社を
探そうとする。
自分の体が虚弱であることは、出版社の方にも伝えている。
そのことを理由に、一度、出版することを断ったのだが、「自分の早さで良い」と言われ、
東京に来ることを決めた。
(これ以上、兄さんの家庭に……割り込むような真似はしたくない……)
自分は、生きているだけでも、酷く、お金が掛かった。
薬が必要で、医者に掛からなければ、生きてもいけず、まともに働くことも出来ない。
それでも、笑って受け入れてくれた、兄さんや義姉さんは、本当に優しい人だと思う。
「恩を返すためにも、頑張ろう……！」
決意も新たに、出版社を探そうとするが、人の多さからか、やはりクラクラと眩暈がした。
(まずは、何処か……落ち着ける場所を探そう……)
むせ込むように、一つ咳をして、とにかく、少しでも落ち着ける場所に行こうと、
人が少ない、暗い住宅地に入った。
(こういう場合は、どうしたら良いのかな……やっぱり、宿を……)
そう考えていると、また一つ咳が出る。
とにかく、今日はもう休んでしまった方が良いと思い、宿を探すことにした。
「それじゃあ、また繁華街の方に……」
その瞬間、後ろの家の生け垣から、『可笑しな匂い』がした気がした。
「誰だい？ 誰かいるのかい？」
ピタリと、その匂いの主であろう人物の動きが止まる。
もしかして、話し掛け辛いのだろうかと思って、後ろの方に振り向いた。
「大丈夫だよ。僕は、道に迷って……」
「道に迷ってしまってね」、その一言を言おうとしたのと同時に。
――足元から、『沼のような匂い』がした。
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天霧(プロフ) - とても面白かったです。続きが気になります。更新頑張ってください。 (2021年9月26日 9時) (
レス) @page6 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
t5h6rmfn7he7be7(プロフ) - しのぶ様が………や、優しいだと！？………もっと続いて下さい！ (2019年9月1日 1時) (レス) id: 87644745f4 (このIDを非表示/違反報告)
露草(プロフ) - しとはさん» コメント、ありがとうございます！私もしのぶさんが好きですが、中々、書くのが難しいです（汗）楽しんで頂けるよう、頑張ります！！ (2019年7月29日 13時) (レス) id: ab84d9d364 (このIDを非表示/違反報告)
露草(プロフ) - 涙さん» コメント、ありがとうございます！しのぶさんを上手く書けるように、頑張ります！！ (2019年7月29日 13時) (レス) id: ab84d9d364 (このIDを非表示/違反報告)
しとは(プロフ) - しのぶさん好きなので、本当に楽しみにしています！更新頑張って下さい！ (2019年7月29日 0時) (レス) id: 076c798201 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露草 | 作成日時：2019年7月25日 22時
